セッション情報 パネルディスカッション1(肝臓学会・消化器病学会合同)

B型肝炎再活性化の予知・予防そして治療

タイトル 肝PD1-3:

B細胞性リンパ腫治療における、月1回のHBV-DNAモニタリングはHBV再活性化による肝炎発症対策として有用である

演者 楠本 茂(名古屋市立大大学院・腫瘍・免疫内科学)
共同演者 田中 靖人(名古屋市立大大学院・ウイルス学), 溝上 雅史(国立国際医療研究センター・肝炎・免疫研究センター)
抄録 【目的】B型肝炎ウイルス(HBV)既往感染歴を持つB細胞性非ホジキンリンパ腫(B-NHL)における、リツキシマブ(R)+ステロイド併用化学療法中のHBV再活性化の頻度およびHBV-DNAモニタリングによるpreemptive therapyの有用性を検証する。
【方法】対象はR+ステロイド併用化学療法を施行するHBV既往感染(HBc抗体陽性and/or HBs抗体陽性)の未治療CD20陽性B-NHL。登録後1.5年間、月1回のHBV-DNA定量検査を前方視的にモニタリングし、HBV再活性化(HBV-DNA≧1.8Logコピー/mL)を認めた時点で抗ウイルス薬を開始。試験デザインは多施設共同観察研究、主要評価項目はHBV再活性化割合(UMIN000001299)。あらかじめ計画された200例の中間解析をおこなった。
【成績】平均フォローアップ期間は549日で、HBV再活性化は解析対象187例中16例に認めた。1年HBV再活性化割合は7.7%(95%CI:4.7-12.7)で、HBV再活性化関連肝障害は認めなかった。劇症肝炎と関連するプレコア(G1896A)およびコアプロモーター(A1762T/G1764A)領域のHBV変異を4例に認めた。
【結語】HBV既往感染B-NHLに対するR+ステロイド併用化学療法後のHBV再活性化割合は7.7%であった。月1回のHBV-DNAモニタリングにより、急激なHBV増殖亢進例を含む、再活性化した全16例において肝炎発症を認めない時点で早期診断、早期治療が可能であった。
なお、本研究は厚生労働科学研究費補助金による肝炎等克服緊急対策研究事業(H20-肝炎-若手-014、H23-肝炎-若手-008)の一環として行われている。
索引用語 HBV再活性化, HBV-DNAモニタリング