セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-基礎3

タイトル 消P-61:

DNAメチル化異常の網羅的な解析による新規胃癌関連遺伝子の検索

演者 高丸 博之(札幌医大・1内科)
共同演者 鈴木 拓(札幌医大・1内科DELIMITER札幌医大・分子生物学), 山本 英一郎(札幌医大・1内科DELIMITER札幌医大・分子生物学), 新沼 猛(札幌医大・1内科), 山本 博幸(札幌医大・1内科), 有村 佳昭(札幌医大・1内科), 豊田 実(札幌医大・分子生物学), 篠村 恭久(札幌医大・1内科)
抄録 【目的】分化型胃癌は、背景粘膜として萎縮性胃炎や腸上皮化生をしばしば伴い、DNAメチル化との関連も多く報告されている。一方、未分化型胃癌の発生には汎発性胃炎が関連していると考えられているが、エピジェネティックな異常については不明な点が多い。本研究では胃癌、胃炎におけるDNAメチル化異常の網羅的な解析を行い、未分化型胃癌におけるハイリスク群の診断マーカーを同定することを目的とした。【方法】胃癌細胞株5株、原発胃癌10例の癌部および対照非癌部、胃炎症例14例を対象として網羅的DNAメチル化解析を行った。Methylated-CpG island amplificationによりメチル化DNAを増幅し、約6000遺伝子のCpGアイランドを網羅したカスタムアレイを用いてMCA マイクロアレイ (MCAM) を行い、CpGアイランドのメチル化を解析した。MCAMの結果をバイサルファイトパイロシークエンスにより検証した。さらに原発胃癌64症例および汎発性胃炎99症例を対象として、MCAMで同定した遺伝子のメチル化をバイサルファイトパイロシークエンスにより解析した。【成績】MCAMのデータをクラスタリング解析した結果、胃炎に比べ胃癌症例の非癌部および癌部でメチル化異常に差を認める遺伝子群の存在を認めた。この群にはこれまで胃癌におけるメチル化異常が報告されている遺伝子が多く含まれていた。その中でも特に未分化胃癌症例においてメチル化異常を示す遺伝子を絞り込み、より詳細な検討を現在行っている。【結論】胃炎・胃癌および背景胃粘膜のメチル化プロファイルを解析することで新規癌関連遺伝子のメチル化を同定した。本研究の結果から、これらの遺伝子メチル化異常が胃発癌にかかわっていることが予想されるとともに、未分化胃癌における新しいバイオマーカーとなる可能性が示唆された。
索引用語 メチル化, 胃癌