セッション情報 パネルディスカッション1(肝臓学会・消化器病学会合同)

B型肝炎再活性化の予知・予防そして治療

タイトル 肝PD1-4:

血液悪性腫瘍に対する化学療法施行例におけるHBV再活性化と核酸アナログ製剤による再活性化予防効果の解析

演者 森 奈美(広島赤十字・原爆病院・肝臓センターDELIMITER広島肝臓study group)
共同演者 柘植 雅貴(広島大・消化器・代謝内科DELIMITER広島肝臓study group), 茶山 一彰(広島大・消化器・代謝内科DELIMITER広島肝臓study group)
抄録 【背景・目的】近年、B型肝炎ウイルス(HBV)感染既往者に対する化学療法や免疫抑制療法において、治療中、治療後にHBV増殖の再活性化に伴うde novo肝炎の発症が問題視されるようになった。本研究では、血液悪性腫瘍に対する化学療法施行例においてHBV再活性化の実態と核酸アナログ(NAs)による再活性化予防効果について検討した。【対象】2006年9月~2012年1月までに当院および関連病院にて血液悪性腫瘍に対し化学療法を受けた症例のうち、HBsAg陰性かつHBsAbまたはHBcAbが陽性であった607例。233例がリツキシマブを使用し、66例は化学療法前からNAsが予防された。【結果】<検討1:非予防投与例の検討>非予防投与例541例のうち、化学療法に伴い12例(2.2%)にHBVの再活性化を認めた(8例がリツキシマブ使用)。再活性化例では、全例NAsが投与されたが、2例は肝不全となった。NAs治療効果を検討すると、再活性化後に肝炎を発症した症例では、NAs開始1年後のHBV DNAの累積陰性化率は24.0%とB型慢性肝炎例(50~90%)に比べ、有意に低率だった。ただし、HBV DNA<4.0でNAsを投与した2例では、いずれもALTの上昇は認めず、速やかなHBV DNAの陰性化を認めた。<検討2:予防投与例の検討>NAs予防投与を行った66例では、観察終了まで1例もHBsAgやHBV DNAの陽転はなく、化学療法終了12ヵ月後にNAsを中止された25例では、中止後の再活性化も認めなかった。【考察】血液悪性疾患では、複数回の化学療法を行うことが多く、定期的なHBV DNAの測定により、再活性化を早期に発見することで肝炎発症が予防できる可能性が示唆された。また、NAsの予防投与は再活性化予防効果があると考えられ、肝予備能が低下していると考えられるような症例では、予防投与も治療戦略の一つと考えられた。
索引用語 HBV再活性化, de novo肝炎