セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-機能1

タイトル 消P-67:

グルタミン酸ナトリウムは脂肪含有液状食の胃排出を促進することなく、インスリンを早期に分泌させる

演者 保坂 浩子(群馬大大学院・病態制御内科学)
共同演者 草野 元康(群馬大・光学医療診療部), 財 裕明(群馬大大学院・病態制御内科学), 川田 晃世(群馬大大学院・病態制御内科学), 栗林 志行(群馬大大学院・病態制御内科学), 下山 康之(群馬大大学院・病態制御内科学), 名越 淳人(群馬大大学院・病態制御内科学), 前田 正毅(群馬大大学院・病態制御内科学), 茂木 文孝(群馬大大学院・病態制御内科学), 河村 修(群馬大大学院・病態制御内科学), 森 昌朋(群馬大大学院・病態制御内科学)
抄録 背景:L-monosodium glutamate (MSG)は、内外分泌機能や消化管運動機能に影響を及ぼす。われわれは以前、MSGが高たんぱく液状食の胃排出を促進することを報告した(Am J Clin Nutr 2009)。しかし、このような胃排出促進作用は脂肪含有食摂取時にはダンピング症状や高血糖などの原因となる可能性がある。今回健常人において、MSGの脂肪含有液状食に対する糖代謝と胃排出に与える影響について検討した。方法:血清ピロリ菌抗体陰性の健常人男性(n=13, 25.5±3.6歳)が対象。400ml(520 kcal:脂肪100kcal,炭水化物300kcal,たんぱく120kcal)の液状試験食を使用し、13C呼気試験による胃排出測定を2回行った。1回は試験食にMSG (2g,0.5%wt/vol)を、もう1回はMSG2gに相当するNa量のNaClを添加した。血糖、インスリン、glucose-dependent insulinotropic polypeptide(GIP)を試験食摂取前と摂取後120分まで測定。腹部感覚も経時的に評価した。結果:血糖、インスリンは試験食摂取後60分までにピークに達した。インスリンのピーク到達時間はMSG添加群で39.2±18.9 min、NaCl添加時で53.1±26.4 minであり、有意に短縮(P<0.05)。また、血糖(the mean value over baseline)は試験食摂取後30分、45分にMSG添加群で低い傾向を示した (p =0.055、p=0.094)。しかし、試験食摂取後2時間までのインスリン、GIPの総分泌量( area under the curve)に有意差は認めなかった。またMSG添加時とNaCl添加時における胃排出時間(T1/2)に差はなく(136±25 min vs.124±16 min,p>0.1)、試験食摂取後の腹部症状スコアにも有意な変化はなかった。結論:MSGは脂肪含有流動食摂取時にインスリンの総分泌量を変えることなく分泌のピークを早める作用を有すると考えられる。また、脂肪含有食に対するMSGの胃排出促進作用はなく、食後期の腹部感覚に変化を与えることもなかった。
索引用語 グルタミン酸, 胃排出