セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-機能2

タイトル 消P-71:

FD・GERDにおけるグルカゴン負荷時胃内送気刺激下胃内圧変化についての検討

演者 鈴木 剛(東京警察病院・消化器科)
共同演者 須山 由紀(東京警察病院・消化器科), 松原 三郎(東京警察病院・消化器科), 小椋 啓司(東京警察病院・消化器科)
抄録 【緒言】われわれは以前より上部消化管内視鏡施行時に送気負荷を加えて胃感受性について検討してきている(Gastroenterol.136(5),A438,2009).FD・GERD症例との間に胃内送気刺激後の閾値や内圧上昇パターンに違いを認めるか否かにつき、また各群における抗コリン作用を有するグルカゴン負荷後の反応性につき検討した.【対象】FD症例16例(平均年齢50歳),GERD症例7例(53歳)である.【方法】対象全例は抗コリン剤未投与下にて内視鏡を施行し,一度胃内空気を吸引し,その後送気刺激(20cc/sec)・内圧測定を行った.送気は腹部症状出現時をエンドポイントとした.測定パラメータは基礎胃内圧・閾値到達時間・閾値圧・初期勾配(0-5mmHg間の上昇勾配)・閾値時胃内圧上昇勾配(胃コンプライアンス)である.グルカゴン負荷は1回目検査終了後グルカゴン1mg静注し4~5分後に胃内送気刺激下胃内圧測定を行った.【結果】基礎胃内圧:(FD群)11.0(GERD群)14.1mmHg(mean).閾値到達時間:(FD群)45.1(GERD群)51.7sec. FD群がGERD群より短かった. 閾値圧:(FD群)21.4(GERD群)24.7 mmHg. GERD群がFD群より高い傾向にあった. 初期勾配:(FD群)0.80(GERD群)0.73とFD・GERD群とも同等の勾配であった.胃コンプライアンス:(FD群)0.25(GERD群)0.21.とFD群の内圧上昇勾配が高い傾向にあった.グルカゴン負荷;基礎胃内圧FD:11.0→9.5,GERD:14.1→8.8mmHg,閾値到達時間FD:45.1→65.8,GERD:51.7→74.1sec,閾値圧FD:21.4→14.4,GERD:24.7→14.2mmHg,初期勾配FD:0.80→0.40,GERD:0.73→0.28mmHg/sec,胃コンプライアンスFD:0.25→0.14,GERD:0.21→0.14mmHg/secと2群ともグルカゴン負荷後に同様な圧変化を呈した.【結論】同法によりFD/GERDの各群で胃内送気刺激下の内圧上昇パターンに違いを認め,FD群がGERD群より知覚過敏・高い胃緊張度が存在する可能性が示された.またグルカゴン負荷により2群とも閾値時間の延長・胃コンプライアンスの低下・初期勾配の低下を認め,ほぼ同様な反応性を呈し,各群の反応性には相違は認めなかった.
索引用語 胃内圧, グルカゴン