セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-機能2

タイトル 消P-72:

FD疑診患者における観察期症状消失の背景因子と症状存続投薬割付群における症状プロファイルの検討.-JMMSの知見から-

演者 中田 浩二(東京慈恵会医大・消化管外科)
共同演者 本郷 道夫(東北大病院・総合診療部), 原澤 茂(済生会川口総合病院), 峯 徹哉(東海大・消化器内科), 佐々木 巌(東北大・胃腸外科), 松枝 啓(さくらライフクリニック), 草野 元康(群馬大・光学医療診療部), 羽生 信義(町田市民病院・外科), 柴田 近(東北大・胃腸外科)
抄録 【目的・方法】JMMS(Japan Mosapride Mega-Study; 日本国際消化管運動研究会主導の下、FD疑診患者を対象に行われた全国規模の臨床比較試験)登録患者1042例のうち、(1)観察期の症状消失例264例における各背景因子(性別、年齢、病悩期間、HP感染)の特徴、(2)投薬割付治療完遂例536例(モサプリド [M薬] 274名、テプレノン [T薬] 262名)における症状プロファイル(症状出現日数[/週]、平均症状スコア[/回]、合計症状スコア[/週])について検討した。【結果】(1)女性、50歳以上、病悩期間3ヵ月未満の群では男性、49歳以下、病悩期間3ヵ月以上の群と比べて観察期症状消失の割合が有意に多かった。HP感染の有無による影響はみられなかったが、FD疑診患者では症状消失群11%、症状存続群6%と低い感染率を示した。(2)症状プロファイルは、観察期、投薬開始後2週目の順に、症状出現日数ではM薬5.1,1.1、T薬5.1,1.8、平均症状スコアではM薬4.7,1.3、T薬4.6,2.2、合計症状スコアではM薬25.5,4.9、T薬24.5,8.4であり、両薬ともすべての評価項目で有意な症状改善がみられた(p<0.0001)。また治療前後の各評価項目の変化量は、M薬、T薬の順に、症状出現日数4.1,3.3、平均症状スコア3.4,2.5、合計症状スコア20.6,16.1であり、M薬がT薬と比べ有意にすぐれていた(p<0.001)。【結論】FD疑診患者のうち“内視鏡検査による器質的病変なし”の保障により症状消失をきたす患者では、背景因子に特徴が認められた。またM薬、T薬のいずれも症状出現日数、平均症状スコア、合計症状スコアの有意な改善がみられ、とくにM薬ではT薬にまさっていた。これらの知見はプライマリーケアにおいてFD疑診患者の症状推移を予測し治療する上で重要である。
索引用語 機能性ディスペプシア, 背景因子