セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
胃-機能3
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タイトル |
消P-73:機能性ディスペプシアに対するモサプリドクエン酸塩製剤もしくはオメプラゾールを用いたQOL改善効果の検討
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演者 |
徳永 健吾(杏林大・3内科) |
共同演者 |
田中 昭文(杏林大・3内科), 菅野 朝(杏林大・3内科), 高橋 信一(杏林大・3内科) |
抄録 |
【目的】機能性ディスペプシア(FD)の病態には消化管運動機能障害、心理社会的ストレス、消化管内臓知覚異常、胃酸分泌能などの複数の因子が関与し、症状も食後もたれ感、早期飽満感、心窩部痛、心窩部灼熱感と複数存在する。また病態や症状の他に、年齢やH. pylori 感染の有無など症例ごとに背景も異なる。そこでFDに対して頻用される消化管運動機能改善剤であるモサプリドクエン酸塩製剤(ガスモチン®)およびプロトンポンプ阻害剤(PPI)であるオメプラゾール(オメプラール®)の効果を症状別に、年齢、H. pylori 感染の有無に分け検討した。【方法】当科においてRoma III診断基準を満たすFD患者を対象とし、封筒法によりモサプリドクエン酸塩製剤(GAS)群およびオメプラゾール(OPZ)群に振り分けた。GASは15mg/日を1日3回食後に、OPZは20mg/日を1日1回朝食後に投与した。また了解を得られた症例においては血清H. pylori抗体を測定した。QOLの評価を日本語版GSRS(Gastrointestinal Symptom Rating Scale)を用いて各薬剤投与前と投与4週後に行い、GSRS下位尺度である消化不良、腹痛、酸逆流について薬剤の有用性を検討した。【結果】GAS群19例、OPZ群17例が割りつけられた。治療前後での全体スコアは、GAS群(前:2.16±0.11、後:1.78±0.14、p<0.05)、OPZ群(前:2.35±0.34、後:1.95±0.26、p<0.05)であり両群で有用であった。65歳以上、H. pylori感染者ではOPZ群で全症状において有意な改善を、また消化不良に対してはH. pylori 感染の有無に関わらずGAS群で有意な改善を認めた。薬剤無効例は19.4%で認められた。【結語】FD患者のQOL改善には消化管運動機能改善剤、PPIともに有用であるが、症状やH. pylori 感染の有無により治療戦略を考慮する必要がある。 |
索引用語 |
H. pylori, 機能性胃腸症 |