抄録 |
【目的】我々は以前より造影剤含有カプセル法を用いて胃運動機能評価を行ってきた。今回、同法を用いてFDにおける胃運動機能・薬剤反応性の特徴を把握することを目的とした。【方法】対象は、FD133例 (男50,女83例, 平均42歳, PDS104, EPS29例)(Rome3基準)、健常例 23例(男16,女7例,33歳)。早朝空腹時に造影剤含有カプセル15個を流動食Okunos 200ml(200kcal)とともに咀嚼せずに内服し、その後0,5,15,30,60,90,120,150,180minの9回X線透視下にて胃内残存カプセル個数、近位胃内残存カプセル個数をそれぞれカウントした。薬剤負荷には、FD症例中6例(女6例,51歳)にitopride(150mg/day)、13例(男4,女9例,39歳)にmosapride(15mg/day)、10例(男7, 女3例,38歳)にfucoidan(沖縄モズク由来fucoidan500mg/day)、5例(男3,女2例,42歳)にomeprazole(20mg/day)を用いた。各薬剤未投薬下に1回目同法施行後2週間内服し、2回目検査を施行した。【成績】<1>FD群は健常群より胃排出・近位胃貯留能ともに有意に低下した(胃内残存カプセル:150min;FD群15個(median), 健常群2個、180min:FD群12個、健常群0個(P<0.05)、近位胃内カプセル:15min:FD群15個、健常群 6個(P<0.05))。PDS・EPS群ともに同等に排出・貯留能障害を認めた。<2>薬剤負荷においては4剤ともにFD症例において胃排出機能は改善された。<3>貯留能の改善はitopride投与例にのみ確認された(投与前15min: 2個→投与後15min:10個)。【結論】FDにおける胃排出能・胃貯留能とその程度が明らかとなり、薬剤間にその反応性の違いを認め、貯留能改善効果はitopride負荷にのみ認めた。 |