セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-診断(内視鏡)1

タイトル 消P-78:

内視鏡的胃液胆汁色の臨床的意義と評価

演者 松本 望(近畿大堺病院・消化器内科)
共同演者 辻 直子(近畿大堺病院・消化器内科), 高場 雄久(近畿大堺病院・消化器内科), 奥村 直己(近畿大堺病院・消化器内科), 山本 典雄(近畿大堺病院・消化器内科), 冨田 崇文(近畿大堺病院・消化器内科), 梅原 康湖(近畿大堺病院・消化器内科), 森村 正嗣(近畿大堺病院・消化器内科), 米田 円(近畿大堺病院・消化器内科), 山田 哲(近畿大堺病院・消化器内科), 落合 健(近畿大堺病院・臨床検査部), 前倉 俊治(近畿大堺病院・臨床検査部), 本庶 元(大津赤十字病院・消化器科), 南 康範(近畿大・消化器内科), 工藤 正俊(近畿大・消化器内科)
抄録 【目的】胃癌やバレット食道の原因としてH. pyloriや胃酸とともに胆汁酸も注目されている。最近日本人の食習慣の欧米化やBMIの上昇を認めるがそれに伴って胃への胆汁酸の影響は増加しているのであろうか?今回われわれは上部消化管内視鏡時の胃液の胆汁色例と非胆汁色例を比較することでその臨床的特徴を検討する。【方法】平成23年2月までの上部消化管内視鏡症例を連続的にさかのぼってreviewし、消化管通過障害がなく食道胃接合部から幽門までを充分再検討可能例433例を胃液胆汁色群86例と非胆汁色群347例にわけて、性別、年齢、BMI、胃の萎縮・逆流性食道炎・バレット食道の有無や内服歴を比較検討した。【結果】胆汁色群と非胆汁色群で性差は認めず、年齢差も認めず(67.8歳 vs. 65.2歳)、BMIにも差を認めなかった(22.1 vs. 22.5)。胃の萎縮(closed type 55% vs. 66%)、逆流性食道炎(LA-M以上)(26% vs. 21%)、バレット(ultra shortを含む)(23% vs. 24%)にも差は認めず、H. pyloriにも差は認めなかった(陽性:陰性:不明 15%:41%:44% vs. 18%:35%:47%)。胆汁色群でPPIやH2blocker内服例が有意に多く(57% vs. 40%, P<0.01)、ウルソデオキシコール酸には有意差を認めなかった(12% vs. 7%)。過去にも内視鏡歴がある135例についての検討では今回胆汁色群28例では過去の内視鏡でも胆汁色が64%で今回陰性105例では過去胆汁色が23%で胆汁色群は過去においても有意に胆汁色が多かった(P<0.01)。【結論】当初予想された胃液の胆汁色とBMIや逆流性食道炎、バレットとは関連性を認めず胆汁酸逆流の指標として胃液の胆汁色の有用性は評価できなかった。胆汁色群にPPIやH2blocker内服例が有意に多く、胃酸抑制により相対的に胆汁色が目立つ可能性も示唆された。
索引用語 胆汁酸逆流, 胃液