セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-診断(内視鏡)1

タイトル 消P-79:

非静脈瘤性上部消化管出血における内視鏡前造影CT検査の有用性

演者 中谷 研斗(北里大・消化器内科)
共同演者 宮澤 志朗(北里大・消化器内科), 金 明哲(北里大・消化器内科), 田辺 聡(北里大・消化器内科), 小泉 和三郎(北里大・消化器内科)
抄録 【目的】近年の画像診断技術の発達に伴い消化管出血の診断におけるCT検査の有用性が報告されるようになってきた。今回、非静脈瘤性上部消化管出血症例に対して内視鏡前に行われた造影CT検査の有用性を検討したため報告する。【方法】2007年4月~2011年2月に当救命救急センターに搬送された非静脈瘤性上部消化管出血94例のうち、緊急内視鏡検査前に造影CT検査を施行した42例に関して検討を行った。【成績】平均年齢64.0歳(16~88歳)、男性/女性=27/15、原因疾患は出血性胃潰瘍29例、マロリーワイス症候群6例、出血性十二指腸潰瘍4例、胃悪性リンパ腫1例、逆流性食道炎1例、胃生検後出血1例であった。24例(57.1%)で基礎疾患を伴い14例(33.3%)で易出血性となる薬剤を内服していた。24例(57.1%)でショックを伴っていた。一次止血困難例は1例、再出血例は6例、内視鏡治療単独での永久止血率は92.8%であった。IVR移行例は3例で全例止血された。造影CT検査の結果、8例(19.0%)で血管外漏出像を認め、血管外漏出像・壁肥厚・壁陥凹像等により18例(42.8%)で出血部位を同定できた。一方、出血原因が胃潰瘍であった肝硬変合併の1例は静脈瘤破裂を疑っていた。内視鏡的止血が困難(再出血、IVR・手術移行)となる因子(年齢、性別、基礎疾患、薬剤内服、出血部位、ショック、脈拍、Hb、BUN、血管外漏出像、内視鏡所見で活動性出血)を単変量解析により検討したところ、薬剤内服(P=0.044)、血管外漏出像(P=0.017)が有意因子であった。有意となった二項目での多変量解析では血管外漏出像(P=0.01、Odds ratio 26.6)が有意であった。【結論】造影CT検査は出血部位診断の一助となるだけでなく、内視鏡的止血困難例の検出にも有用と考えられた。
索引用語 上部消化管出血, 造影CT検査