共同演者 |
宮原 良二(名古屋大・光学医療診療部), 坂野 閣紀(名古屋大大学院・消化器内科学), 舩坂 好平(名古屋大大学院・消化器内科学), 古川 和宏(名古屋大大学院・消化器内科学), 坂巻 慶一(名古屋大大学院・消化器内科学), 鶴留 一誠(名古屋大大学院・消化器内科学), 山本 富美子(名古屋大大学院・消化器内科学), 大野 栄三郎(名古屋大大学院・消化器内科学), 川嶋 啓揮(名古屋大大学院・消化器内科学), 伊藤 彰浩(名古屋大大学院・消化器内科学), 大宮 直木(名古屋大大学院・消化器内科学), 廣岡 芳樹(名古屋大・光学医療診療部), 渡辺 修(名古屋大大学院・消化器内科学), 前田 修(名古屋大大学院・消化器内科学), 安藤 貴文(名古屋大大学院・消化器内科学), 丹羽 康正(愛知県がんセンター中央病院・内視鏡部), 後藤 秀実(名古屋大大学院・消化器内科学DELIMITER名古屋大・光学医療診療部) |
抄録 |
【目的】近年、ESDが粘膜内分化型癌の治療法として有効な手段となっている一方で、形質発現の差異により臨床像が異なる事が指摘されている。そのため、形質発現の観点から拡大内視鏡像との関連性について検討した。【方法】当院で内視鏡あるいは外科的に切除され病理学的検索が行われた症例のうちNBI併用拡大画像による見直し診断が可能であった早期胃癌148病変(分化型122病変、未分化型26病変)を対象とした。得られた拡大内視鏡像・病理組織像と形質発現とその粘膜内分布の関連性について後ろ向きに検討した。【成績】分化型早期胃癌122病変の内訳は、胃型23.8%(29/122),混合型42.6%(52/122),腸型32.8%(40/122),無形質型0.8%(1/122)であった。未分化型早期胃癌26病変の内訳は、胃型50%(13/26),混合型38.5%(10/26),腸型7.7%(2/26), 無形質型3.8%(1/26)であった。その内、拡大内視鏡像でfine network pattern(FNP)を認めた92.1%(35/38)は分化型癌で、胃型17.1%(6/35)、腸型54.3%(19/35)であった。また、corkscrew pattern(CSP)を認めた78.9%(13/19)は未分化型癌で、胃型76.9%(10/13)、腸型0%(0/13)であった。FNPを示した胃型分化型の50%(3/6)、CSPを示した胃型未分化型癌の70%(7/10)で粘膜内の癌細胞分布がMUC5AC/MUC6の2層構造が保たれたorganoid structure(OS)を呈した。【考察】未分化型胃癌に特異的とされるCSPは、OSの保たれた初期の胃型未分化型癌に特徴的と考えられた。リンパ節転移陽性の未分化型粘膜内癌の危険因子としてOSの消失が指摘されており、OSが消失したCSPとOSの保たれたCSPの鑑別が可能となれば、今後ESD適応拡大にあたって有力な判断指標となり得る可能性がある。 |