セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-診断(内視鏡)2

タイトル 消P-86:

出血性胃十二指腸潰瘍に対する内視鏡治療抵抗例の検討

演者 志村 輝幸(藤枝市立総合病院・消化器科)
共同演者 丸山 保彦(藤枝市立総合病院・消化器科), 景岡 正信(藤枝市立総合病院・消化器科), 大畠 昭彦(藤枝市立総合病院・消化器科), 森 雅史(藤枝市立総合病院・消化器科), 宇於崎 宏城(藤枝市立総合病院・消化器科)
抄録 【目的】消化管出血に対する治療の第一選択は、内視鏡的止血術であるが、治療抵抗例も少なからず存在する。そこで今回、出血性胃十二指腸潰瘍に対する内視鏡的治療抵抗例の危険因子について検討を行った。【方法】2008年1月から2010年12月まで当院で出血性胃十二指腸潰瘍にて緊急止血術を行った167例(男性105例、女性62例、平均年齢71.1歳、胃潰瘍108例、十二指腸潰瘍51例、胃十二指腸潰瘍1例、吻合部潰瘍7例)を対象とした。単回の内視鏡的治療で止血しえなかった症例を内視鏡治療抵抗例と定義した。当院の内視鏡的止血法ではクリッピング治療を第一選択として、HSE局注・エタノール局注・APC凝固・高周波凝固を術者が状況に応じて選択している。内視鏡的治療抵抗例の危険因子としてForrest分類、内服歴、ショック・輸血の有無、内視鏡止血方法を検討した。【成績】治療抵抗例は19例(男性10例、女性9例、年齢50~90歳 平均年齢69.7歳、胃潰瘍12例、十二指腸潰瘍6例、吻合部潰瘍1例)であった。抵抗例と非抵抗例ではForrestIa,bの割合は、21.1%vs18.6%(n.s)。抗血小板剤または抗凝固剤内服例の割合は、15.8%vs29.1%(n.s)。制酸剤内服例の割合は、5.3%vs14.9%(n.s)。ショック症例の割合は、68.4%vs39.9%(P<0.05)であり、また、輸血症例の割合も73.7%vs48.6%(P<0.05)と抵抗例で有意に多かった。止血法の種類では、クリッピング術施行例の割合は47.3%vs41.9%であり、HSE局注施行例の割合は78.9%vs70.3%、エタノール局注の割合は57.9%vs44.6%であった。手術での止血症例1例と末期担癌患者で死亡例1例あったものの、止血術による重篤な偶発症はなかった。【考察】止血法・内服歴と治療抵抗との関連は認めなかった。緊急検査までのショック・出血量などを総合的に判断して治療抵抗性をある程度予測できる可能性があると思われた。
索引用語 内視鏡的止血術, 消化管出血