セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-H.pylori

タイトル 消P-92:

健常者の血清亜鉛濃度とHelicobacter pylori感染および胃粘膜萎縮の関連についての検討

演者 岡田 有史(弘前大大学院・消化器血液内科学)
共同演者 下山 克(弘前大大学院・消化器血液内科学), 檀上 和真(弘前大大学院・社会医学), 中路 重之(弘前大大学院・社会医学), 福田 眞作(弘前大大学院・消化器血液内科学)
抄録 【目的】亜鉛は生体内において創傷治癒や免疫機能の維持などに必要不可欠とされる。近年Helicobacter pylori(以下H. pylori)感染と微量元素との関連に関する報告が散見されるが、それらの報告は海外(特に発展途上国)のものが僅かにあるのみであり、健常者を対象とした報告はない。今回我々は、一般住民健診を受診した健常成人を対象に、血清亜鉛濃度とH. pylori感染および胃粘膜萎縮との関連について検討した。
【方法】青森県弘前市岩木地区の住民健診を受診した一般成人871名(26歳から83歳)を対象とした。H. pylori感染の有無は、便中抗原(テストメイトピロリ抗原EIA)と血清抗H. pylori抗体(Eプレート)を測定し、両検査とも陽性の場合を感染者、両検査とも陰性の場合を非感染者とした。胃粘膜萎縮については、血清pepsinogen(PG)I・IIを測定し、PG I<70 μg/lかつPG I/II<3.0を胃粘膜萎縮ありと定義した。対象を各年代ごとに分け、H. pylori感染および胃粘膜萎縮の有無と血清亜鉛濃度について検討した。
【結果】血清亜鉛濃度をH. pylori感染の有無で比較検討した場合、H. pylori感染者はH. pylori非感染者に比べて血清亜鉛濃度は有意に低かった(P<0.01)が、各年代に分けて比較したところ有意差は認めなかった。さらにH. pylori感染者を胃粘膜萎縮の有無で分けて比較検討したところ、対象全体においてはH. pylori陽性・胃粘膜萎縮陽性群はH. pylori陰性群に比べて、血清亜鉛濃度は有意に低かった(P<0.01)が、各年代ごとの比較では有意差を認めなかった。
【結語】H. pylori感染および胃粘膜萎縮が血清亜鉛濃度の低下に関与する可能性が示唆された。
索引用語 Helicobacter pylori, zinc