セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-H.pylori

タイトル 消P-94:

データマイニング法によるH. pylori 除菌療法に反応しない胃MALTリンパ腫の解析

演者 小林 祥司(山梨大・1内科)
共同演者 大高 雅彦(山梨大・1内科), 佐藤 公(山梨大・1内科), 末木 良太(山梨大・1内科), 小馬瀬 一樹(山梨大・1内科), 山口 達也(山梨大・1内科), 植竹 智義(山梨大・1内科), 大塚 博之(山梨大・1内科), 榎本 信幸(山梨大・1内科)
抄録 背景:胃限局期MALTリンパ腫(CSI/II1)に対する治療はHp除菌療法が第1選択として認知されているが,除菌治療で寛解に至らない症例が存在する. 今回,除菌治療不応例の特徴をretrospectiveに検討した.対象は1999年より2010年までに診断された胃MALTリンパ腫33例で男/女=11/22,年齢38~82(平均60.9)歳,病期I/II1/II2/IV=30/1/1/1,Hp陽性27例(81.8%)であった.胃MALTリンパ腫の疑診例は入院後にEMRを施行し組織学的に確定診断を行った.Hp感染の存在は, 培養,ウレアーゼテスト,呼気テストのいずれかに加えH.pylori-IgGを測定した.全例にHp除菌療法を行い除菌成功によるCRを判定した。内視鏡の肉眼所見を構成する要素から分類し潰瘍・びらん・発赤を有するびらん群,褪色粘膜群,粘膜下隆起群,インジゴカルミン染色による顆粒状粘膜群を区別した.内訳はびらん群24例(72.7%),褪色粘膜群17例(51.5%),顆粒状粘膜群2例(6.1%),粘膜下隆起群5例(15.2%)であった.びらん群はHp感染に関連がみられた(p=0.0428).顆粒状粘膜群はAPI2-MALT1遺伝子異常に関連した(p=0.0143).Hp除菌によるCR率は60.6%で単変量解析で年齢(p=0.0076),びらん群(p=0.0135),粘膜下隆起群(p=0.0054),Hp感染(p=0.0175),API2-MALT1遺伝子異常やトリソミー18など染色体異常(p=0.0047)に関連がみられた.多変量解析では有意なものは得られなかった。染色体異常を検索した20例をデータマイニング決定木モデル(CHAID)をPASW statistics 18を用いて解析し,nonCR(11例,55%)はびらん群,粘膜下隆起群が独立した因子として抽出,非びらん群(8例中7例,87.5%),粘膜下隆起群(3例,100%)と判定された.Hp陽性者の中では25.9%にnon CR例が存在し,CR阻止因子として粘膜下隆起群(p=0.012)と染色体異常(p=0.0422)が推定された.結語:内視鏡肉眼所見より胃MALTリンパ腫の治療効果が推定可能であった.びらん群はHp感染に関連し除菌療法でCRが望め、粘膜下隆起の所見は除菌療法でnonCRが推定された。
索引用語 胃MALTリンパ腫, 決定木