セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-H.pylori

タイトル 消P-95:

特定健康診査(集団方式)に併せて行う胃がんリスク(ABC)検診の有用性と課題

演者 古家 敬三(伏見医師会)
共同演者 佐々木 善二(伏見医師会), 西村 俊一郎(伏見医師会), 沖 映希(伏見医師会), 松村 聡(伏見医師会), 西 俊希(伏見医師会), 沖 啓一(伏見医師会)
抄録 【目的】間接撮影法による対策型胃がん検診は、受診率、費用対効果、精度管理等において種々の問題を抱えており、それに代わる検診法の確立が急務となっている。伏見医師会では昨年度より特定健康診査(健診)の際に、希望者には血清H. pylori抗体価 (Hp) とペプシノゲン値 (PG) を測定する胃がんリスク(ABC)検診を併施し、対策型検診としての有用性を検討している。【方法】国民健康保険および後期高齢者広域連合が行う集団方式の健診において、同意の得られた京都市伏見区住民を対象にHpとPGを測定し、それぞれの結果に基づいて胃癌罹患リスクを以下の4群に層別化。A群:両者陰性(精密検査は不要)、B群:Hpのみ陽性(3年に1回の内視鏡検査)、C群:両者陽性(2年に1回の内視鏡検査)、D群:PGのみ陽性(毎年の内視鏡検査)。受診後5年間は、結果報告書に基づき2次精検医療機関で内視鏡による経過観察が行われ、胃癌罹患およびH. pylori除菌の有無が随時報告される。【成績】昨年度の健診受診者4241人中、3912人が胃がんリスク検診を受診した (受診率5.2%)。平均年齢は68.4歳、男性が1483人 (37.9%)、1次検診結果はA群:1379人 (35.3%) 、B群:287人 (7.3%)、C群:1812人 (46.3%)、D群:434人 (11.1%)で、各群の平均年齢はAからDの順に高かった。要精検者数は2533人 (64.7%)で、うち2次精検受診者数は734人 (29.0%)であった。これまでに胃癌がC群から14例、D群から2例の合計16例発見、胃癌発見率は0.4%であった。【結論】集団健診受診者の9割以上が本検診を受諾され、間接撮影法に比べて簡便かつ低コストであるため受診率の増加が期待される。また初年度は0.4%と高い胃癌発見率を達成し、2次精検受診率のさらなる向上により高い感度が見込まれる。一方高齢者と女性の受診者が多く、C群が半数近くを占めた。今後保険者のレセプト情報との突合により、本検診による胃癌死亡率と医療費の減少効果を評価することが可能である。
索引用語 胃がん検診, H. pylori