セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-H.pylori

タイトル 消P-96:

クリニックにおけるH. pylori感染の臨床的特徴

演者 坪井 優(千葉大附属病院・消化器内科DELIMITER千葉中央クリニック)
共同演者 坂井 雄三(千葉中央クリニック), 新井 誠人(千葉大附属病院・消化器内科), 横須賀 收(千葉大附属病院・消化器内科)
抄録 【背景】H. pylori感染症は、胃・十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎、胃がん、MALTリンパ腫、胃過形成性ポリープ、機能性ディスペプシア等の消化器疾患をはじめ、特発性血小板減少紫斑病や小児の鉄欠乏性貧血との関連性が報告されており、特に胃がんについては近年日本における除菌による発がん抑制のデータが蓄積してきている。保険診療上の制限はあるも、H. pylori感染を確認し、必要に応じて除菌をすることは、日常診療において重要と考えられる。 今回はH. pylori感染のハイリスクグループを選別する目的で当院における感染者の臨床像について検討した。
【対象】2008年6月から2010年5月までの2年間に当院にて血清抗H. pylori抗体によりH. pylori感染の有無を確認した870症例(除菌後の症例を除く)を対象とした。年齢11歳~85歳(中央値43歳)、性別は男:女 337 : 533であった。
【方法】血清抗H. pylori抗体陽性例と陰性例の臨床的特徴および血液検査所見について比較検討した。
【結果】血清抗H. pylori抗体陽性例は252例(29.0%)で、陰性例は618例(71.0%)であった。陽性例の臨床的特徴は、単変量解析において高齢(p<0.0001)、高脂血症薬内服歴(p=0.001)、井戸水の飲水歴(p=0.027)、胃粘膜萎縮(p=0.0001)が有意に多く、逆にFD症状(p=0.001)、 PPIの内服(p=0.004)、喫煙歴(p=0.099)が少なかった。 また血液検査データでは BUN(p<0.0001)、LDH(p=0.006)が高くMCHC(p=0.0015)、ALB(p=0.016)、A/G(p=0.002)が低かった。 多変量解析では高齢(p=0.009)、胃粘膜萎縮(p<0.0001)、WBC(p=0.039)、MCHC(p=0.03)において有意差を認めた。
【結論とまとめ】今回の検討では、当院のH. pylori 感染者の臨床的特徴として既知の報告の通り、高齢者と胃粘膜萎縮があることが挙げられた。 血液検査所見についての多変量解析では、WBCの上昇およびMCHCの低下を認めた。
索引用語 H. pylori, 委縮性胃炎