セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-H.pylori

タイトル 消P-103:

H.pylori 二次除菌失敗例に対するSitafloxacin(STFX)を用いた除菌療法の有用性と予測因子

演者 加藤 智惠子(富山大・3内科DELIMITER富山市医師会)
共同演者 杉山 敏郎(富山大・3内科), 西川 潤(富山大・3内科), 峯村 正実(富山大・3内科), 堀江 章彦(富山市医師会), 馬瀬 大助(富山市医師会)
抄録 【目的】日本ヘリコバクター学会ガイドラインが推奨する一次、二次除菌法で最終的に97%は除菌できる。しかし、少数例ではあるが二次除菌失敗例があり、失敗例に対する三次除菌法は確立されていない。海外では新キノロン系を用いた三次除菌法が推奨されているが、わが国は新キノロン耐性H.pyloriの頻度が約30%を越えており推奨できない。新キノロン耐性は主にgyrA変異を介して誘導されるが、Sitafloxacin(STFX)はgyrA変異による耐性も克服でき、H.pyloriに対するMICも低い。STFXを含む三剤併用療法の除菌成否とMIC、gyrA遺伝子変異との関連を検討した。【対象および方法】一次除菌、二次除菌に失敗した12例を対象とした。除菌レジメンはRabeprazole 20mg+Amoxicillin 1500mg+STFX 100mg分2を10日間である。除菌判定は除菌薬内服終了8週以降に13C-尿素呼気試験で行い、2.5‰未満を陰性とした。除菌前に上部消化管内視鏡検査を行い、胃体部大弯、前庭部大弯から生検、培養に供した。CLSIに準じた寒天平板希釈法で、培養された菌株のSTFXに対するMICを測定した。gyrA遺伝子変異はQRDR領域をPCRで増幅後、塩基配列を決定した。【結果】1) 除菌率は66.7%(8/12)であった。2) STFXのMICは0.25未満が7例、0.25以上が5例で、MICが0.25未満の除菌率は85.7%(6/7)、0.25以上が40%(2/5)であった。3) gyrAのQRDRに変異が確認できた症例は6例で、コドン87にのみ認められた症例が2例、コドン91にのみ認められた症例が1例、共に認められた症例が2 例、その他の部位に変異が認められた症例が1例であった。 4) 非変異株MICは≦0.015~0.25、gyrAコドン87変異株のMICは≦0.015~2であった。5) 非変異症例の除菌率は83.3%(5/6)、変異症例は50%(3/6)。変異症例中、コドン87に変異症例の除菌率は25%(1/4)であった。【結語】STFXを含む三剤併用療法の除菌率は約70%であった。gyrAコドン87に変異をもつ菌株は除菌が困難である可能性が示唆された。
索引用語 H.pylori, Sitafloxacin