セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-NSAIDs、ステロイド

タイトル 消P-110:

出血性消化性潰瘍症例における低用量アスピリン(LDA)の影響

演者 関根 忠一(済生会川口総合病院・消化器内科)
共同演者 松井 茂(済生会川口総合病院・消化器内科), 高杉 秀明(済生会川口総合病院・消化器内科), 平田 嘉幸(済生会川口総合病院・消化器内科), 目時 亮(済生会川口総合病院・消化器内科), 小林 久里子(済生会川口総合病院・消化器内科), 井上 勝徳(済生会川口総合病院・消化器内科), 濱田 清誠(済生会川口総合病院・消化器内科), 小柳 佳成(済生会川口総合病院・消化器内科), 原澤 茂(済生会川口総合病院・消化器内科)
抄録 【目的】近年心・脳血管系イベント予防のためLDAの使用が増え、それに関連した吐下血症例が多くなっている。最近の当院の消化性潰瘍吐下血症例について抗血栓療法剤特にLDAの影響を検討した。【方法】2000年1月1日~2010年12月31日までの11年間の当院の消化性潰瘍吐下血症例を前期6年間と後期5年間とに分けて分析し、抗血栓療法剤の関与について検討した。【成績】合計446例で、年々増加傾向にあり、前期は50代、60代、40代、70代の順に多かったが後期は60代、70代、50代、80代の順に多く、高齢化していた。また男女比は前後期とも約3:1であった。胃潰瘍十二指腸潰瘍の比率は前期が約4:1、後期が約3:1であった。止血法としてはクリッピング、HSE局注、エタノール局注、APCなどで止血率は100%で手術症例はゼロであった。前期では13.2%にNSAID(LDAを除く)が関与し、11.8%に抗血栓療法剤が関与しており、後期では13.6%にNSAIDが関与し、14.0%に抗血栓療法剤が関与していた。そのうち前期では66.7%が、後期では82.4%がLDAで、LDAの比率が有意に増加していた。LDAが関与している44例(前期16例、後期28例、全体の9.9%)において前期の平均年齢は63.2歳、後期は68.9歳と高齢化し、男女比は前期約4:1、後期約6:1、後期に多くみられた。吐下血までの内服期間が明らかな19例において、その期間は3週から17年と範囲が広く、中央値は2年8ヵ月、3年以内が12例(63.2%)であった。NSAIDの服用を契機として吐下血した症例が散見された。予防的に抗潰瘍薬を内服していたのは7例(15.9%)のみであった。潰瘍の既往は4例(9.1%)で、H.pyloriの感染は54%(13/24人)に認めた。【結論】LDAが関与した出血性消化性潰瘍の頻度は9.9%で、LDA服用開始から吐下血までの期間はかなり長く、NSAIDの併用を契機として発症する症例が散見された。潰瘍歴を有する症例は9.1%で、PPIなどの予防投与がされている症例は少なかった。H.pyloriの関与は少ないと考えられた。
索引用語 出血性消化性潰瘍, 低用量アスピリン