セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-NSAIDs、ステロイド

タイトル 消P-112:

ステロイド服用における消化管作動薬の併用の必要性についての検討

演者 桜井 宏一(熊本大大学院・消化器内科学)
共同演者 村尾 哲哉(熊本大大学院・消化器内科学), 牧 曜子(熊本大大学院・消化器内科学), 加来 英典(熊本大大学院・消化器内科学), 野中 康一(熊本大大学院・消化器内科学), 直江 秀昭(熊本大大学院・消化器内科学), 尾崎 徹(熊本大大学院・消化器内科学), 横峰 和典(熊本大大学院・消化器内科学), 佐々木 裕(熊本大大学院・消化器内科学)
抄録 目的:ステロイド服用と上腹部症状および上部消化管病変との関係については殆ど解明されておらず、漫然と酸分泌抑制剤や粘膜保護剤が投与されているのが現状である。今回我々は、ステロイド服用における消化管作動薬の併用の必要性について、上腹部症状および内視鏡所見を含めて比較検討した。方法:慢性腎炎でステロイドを服用する44例(平均年齢40.0歳、20~77歳)を対象とした。ステロイド開始前に上腹部症状および内視鏡検査を施行し、上腹部症状(胃痛、胸やけ、呑酸、胃もたれ、吐き気、げっぷ、早期腹満感、膨満感)をGOS スコアにて評価し、全ての症状が3点以下であれば無投薬(A群)、レパミビド3T 3x(B群)、ラベプラゾール(10mg)1T 1x(C群)の3群に無作為に割り付けた。症状が4点以上(有症状群)の症例数は少なく、今回の検討から除外した。ピロリ菌感染の有無はウレアーゼ試験にて行い、内視鏡検査にて器質的疾患を認めた場合は除外とした。ステロイドはソルメドロール500mgを9日間点滴、その後PSL30mg、25mg、20mg、15mg、10mg、5mgを各々2ヶ月毎(減量隔日投与)の1年間行った。PSL投与後1ヶ月毎にGOS スコアによる症状調査を行い、スコア4点以上が1つでも認められれば悪化と評価した。また内視鏡所見も開始前と1年後で比較検討した。結果:A群15例(男性:女性=4:11、ピロリ菌陰性13例)、B群14例(男性:女性=4:10、ピロリ菌陰性10例)、C群15例(男性:女性=5:10、ピロリ菌陰性10例)であった。悪化症例は、B群1例のみあったが、その1例は高齢で、バイアスピリンを追加併用し、ピロリ菌陽性であり、内視鏡検査にて胃潰瘍を認めた症例で、バイアスピリンの影響と考えられた。内視鏡所見で治療前後で悪化した症例も本症例であった。結語:ステロイド服用による上腹部症状の悪化はなく、消化管作動薬の併用の必要性はないと思われた。またピロリ感染の有無も関連はなかった。
索引用語 ステロイド, 消化管作動薬