セッション情報 一般演題

タイトル 84:

肝細胞癌と並存した脾症 (splenosis)の一例

演者 坂本 啓(日本)
共同演者 木暮 宏史(日本), 伊藤 由紀子(日本), 水野 英雄(日本), 山本 夏代(日本), 光野 雄三(日本), 中田 良(日本), 加藤 善久(日本)
抄録 症例は65歳男性。1964年外傷時、脾臓、左腎臓摘出。輸血(+)。1991年5月トランスアミナーゼ上昇、HCV抗体陽性。慢性C型肝炎と診断。腹部超音波検査にて肝臓に明らかな異常認めず。インターフェロン療法を1991年7月から1992年9月まで継続するもウイルス消失せず。2004年2月、腹部超音波検査にて肝S8に34×25mmのSOL指摘。3月、肝dynamicCT施行。S8にφ3cm大、S7、S3にφ1cm大の早期相で濃染、後期相で低吸収を示す結節影を認めた。また、早期相で濃染、後期相で等吸収を示すS2背側から肝外に突出するφ3cmの結節、胆嚢頚部直上にφ1.5cmの結節を認めた。肝細胞癌(HCC)の多発と診断、精査加療目的に入院となった。Angio CT施行。上記の結節全てがCTA/CTAPにて濃染/欠損であった他、S8辺縁にも同様パターンを示すのφ1cmの結節を確認した。その後、肝部分切除術(S2:左葉背側の突出,S5:胆嚢頚部直上)、術中マイクロウェーブ腫瘍焼灼術(S3, S7, S8辺縁)、術中ラジオ波腫瘍焼灼術(S8)、胆嚢摘出術施行。切除病変の病理は脾組織であり、脾症 (splenosis)が存在していたことが判明した。脾症 (splenosis)は脾損傷や脾摘後、異所性に脾組織が発生、成長する現象である。本症例は肝細胞癌と並存して肝実質に脾症 (splenosis)が発生した稀有な症例であり報告した。
索引用語 splenosis, 肝細胞癌