セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 104:膵管癒合不全症に胆道拡張症を合併した1例 |
演者 | 田中 悌史(国立国際医療センター 外科) |
共同演者 | 山澤 邦宏(国立国際医療センター 外科), 枝元 良広(国立国際医療センター 外科), 寺島 裕夫(国立国際医療センター 外科), 斉藤 幸夫(国立国際医療センター 外科), 清水 利夫(国立国際医療センター 外科), 芹沢 浩子(国立国際医療センター 消化器科), 秋山 純一(国立国際医療センター 消化器科), 正木 尚彦(国立国際医療センター 消化器科), 上村 直実(国立国際医療センター 消化器科) |
抄録 | 【緒言】膵臓は胎生7週頃に腹側膵原基と背側膵原基が癒合し、続いてそれぞれの主導管が交通して一つの臓器として完成する。この形成過程における発生異常である膵管癒合不全症は、腹側・背側膵管の分離形態により完全型と不完全型とに大別される。一方、胆道拡張症は膵管胆管合流異常症が原因であることが知られているが、この胆道拡張症が膵管癒合不全症に合併することは比較的稀である。今回我々は完全型膵管癒合不全症と胆道拡張症の合併症例を経験したので報告する。【症例】32歳女性。17歳時左側腹部痛出現し、近医受診。精査にて総胆管拡張症を指摘された。以降症状なく年1回の経過観察となっていたが、総胆管拡張症の増悪や自覚症状がなかったため24歳以降受診しなくなっていた。平成15年7月心窩部不快感を契機に当センター消化器科受診し、以後follow upとなった。平成16年7月精査目的にて当センター入院、ERCP、MRCPにて副乳頭から背側膵管が描出され主乳頭から短い腹側膵管が描出されるという膵管癒合不全症を伴った胆道拡張症と診断された。その後手術目的にて当科転科となり、同年11月16日肝外拡張胆管切除及び胆管空腸吻合術を施行した。病理組織診断では、総胆管・胆嚢いずれも異型細胞は認めなかった。また術中採取した総胆管内胆汁中のアミラーゼの濃度は2593IU/L、胆嚢内胆汁中は470IU/Lであった。術後経過良好は良好で、術後14日目に退院、以後外来通院中である。【結語】膵管癒合不全症には胆石症や膵炎が合併することは比較的よく知られているが、胆道拡張症の合併は、ERCP・MRCPや術中造影などにより発見された症例の報告が散見されるのみである。胆道拡張症の治療としては分流手術が基本である。しかし膵管癒合不全合併例でも本症例のごとく術前に膵炎や膵管拡張を認めない症例では分流手術のみで問題ないと考えるが、報告例では分流手術後に膵炎を発症する症例もあり、術後膵炎を起こす可能性がある場合は、副乳頭形成術を加えるなど慎重な術式の選択および術後のfollow upが重要と考えられた。 |
索引用語 | 胆道拡張症, 膵管癒合不全 |