共同演者 |
宮原 良二(名古屋大・光学医療診療部), 坂野 閣紀(名古屋大大学院・消化器内科学), 古川 和宏(名古屋大大学院・消化器内科学), 坂巻 慶一(名古屋大大学院・消化器内科学), 立松 英純(名古屋大大学院・消化器内科学), 鶴留 一誠(名古屋大大学院・消化器内科学), 山本 富美子(名古屋大大学院・消化器内科学), 大野 栄三郎(名古屋大・光学医療診療部), 川嶋 啓揮(名古屋大大学院・消化器内科学), 伊藤 彰浩(名古屋大大学院・消化器内科学), 大宮 直木(名古屋大大学院・消化器内科学), 廣岡 芳樹(名古屋大・光学医療診療部), 渡辺 修(名古屋大大学院・消化器内科学), 前田 修(名古屋大大学院・消化器内科学), 安藤 貴文(名古屋大大学院・消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大大学院・消化器内科学DELIMITER名古屋大・光学医療診療部) |
抄録 |
【目的】GISTの病態、予後にかかわる分子学的メカニズムはいまだ十分解明されていない。今回我々は倫理委員会承認のもとGIST検体についてc-kit遺伝子およびPDGFRα遺伝子解析を行ったので報告する。【対象】2008年10月から2011年3月までに当院および関連病院でEUS-FNAもしくは手術を施行され病理学的に確診されたGISTで遺伝子研究に同意された41検体(EUS-FNA:13検体、手術:28検体)【方法】RNA抽出を行いcDNAに逆転写後c-kitを増幅した。direct sequence法でexon (以下ex) 9,11,13,17につき変異を確認後、Kit変異陰性例に対しPDGFRα変異(ex12,14,18)を調べた。次にreal time PCRを用い発現量をΔΔCT法で比較し遺伝子変異および悪性度分類との関連を検討した。【結果】すべての検体でc-kit増幅を認め、変異解析が可能であった。c-kit変異の内訳はex9:2例、ex11:30例、ex13:1例、PDGFRαex18変異は4例に認め、4例はいずれの変異も認めなかった。FNA検体および手術検体両方を解析した5例(10検体)に関しては変異部位が完全に一致しており、また発現量は正の相関を認めた。また遺伝子変異と発現量の解析においてはc-kit変異でc-kit発現が野生型に比べ有意に高かったが、PDGFRα変異と発現の関連は認めなかった。臨床情報を詳細に解析できた19例において遺伝子変異と悪性度分類を比較した。高、中間悪性度(野生株1例、ex9:2例、ex11:2例、ex13:1例、PDGFRα:0例)低悪性度(野生株0例、ex9:0例、ex11:11例、ex13:0例、PDGFRα:2例)であり、c-kit ex11、PDGFRα変異では低悪性度GISTを多く認めた。しかし悪性度(高、中間 vs 低)によるc-kitおよびPDGFRA発現量の差は認めなかった。【考察】RNAによるGIST遺伝子解析を行い、c-kit変異と発現量および遺伝子変異と悪性度に興味深い知見を得たので報告する。 |