セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-GIST

タイトル 消P-116:

消化管間質腫瘍におけるmicroRNA発現プロファイル解析

演者 新沼 猛(札幌医大・1内科)
共同演者 鈴木 拓(札幌医大・1内科DELIMITER札幌医大・分子生物学), 野島 正寛(札幌医大・公衆衛生学), 高丸 博之(札幌医大・1内科), 能正 勝彦(札幌医大・1内科), 山本 博幸(札幌医大・1内科), 豊田 実(札幌医大・分子生物学), 篠村 恭久(札幌医大・1内科)
抄録 【目的】消化管間質腫瘍(GIST)におけるmicroRNA (miRNA)発現プロファイルを解析し、悪性度や予後予測のマーカーとなりうる知見を得ることを目的とした。【方法】手術切除された新鮮凍結GIST検体(n=64)およびパラフィン切片(n=100)を解析対象とした。miRNAマイクロアレイV3 (Agilent)を用いて32例のGISTにおけるmiRNA発現プロファイルを解析した。TaqMan RT-PCRにより個別のmiRNA発現を検証した。また、遺伝子発現アレイ(Agilent)およびarray CGH (Agilent)解析を行い、miRNA発現と比較した。【成績】miRNAマイクロアレイ解析の結果、GISTは染色体14qのmiRNAクラスターの高発現群と低発現群に大別され、かつこれらのmiRNA発現は14q欠失と逆相関したが、GISTの悪性度とは相関しなかった。risk分類ごとのmiRNA発現パターンを解析した結果、high-risk群において有意に高発現しているmiR-Xを同定した。TaqMan RT-PCRによる解析の結果、miR-Xの高発現は、high-risk群、転移および予後不良と強く相関した。遺伝子発現アレイの結果、miR-Xが存在するHOXクラスター遺伝子群および転移との関連が報告されているnon-coding RNA (lincRNA-X)が、miR-Xと同時に高発現していることが明らかとなった。lincRNA-Xの高発現もまた、GISTのhigh-risk群に高頻度に見られ、転移および予後不良と相関した。【結論】miR-XはGISTの高悪性度群の予後診断マーカーとなる可能性が示された。miR-XおよびlincRNA-Xは、GIST悪性化のメカニズムに関与していることが示唆され、診断および治療の分子標的となりうると考えられた。
索引用語 GIST, microRNA