セッション情報 一般演題

タイトル 44:

潰瘍性大腸炎の急性増悪に一過性健忘を合併した1例

演者 長村 愛作(東京歯科大学 市川総合病院 消化器科)
共同演者 中野 雅(東京歯科大学 市川総合病院 消化器科), 岸川 浩(東京歯科大学 市川総合病院 消化器科), 貝田 将郷(東京歯科大学 市川総合病院 消化器科), 西田 次郎(東京歯科大学 市川総合病院 消化器科), 岡田 聡(東京歯科大学 市川総合病院 内科), 仁科 牧子(東京歯科大学 市川総合病院 内科), 森下 鉄夫(東京歯科大学 市川総合病院 内科)
抄録 症例は35歳、男性。3年前より全結腸型の潰瘍性大腸炎にて当院に通院中であった。初回発作時は白血球除去療法とステロイドの投与、再燃時はステロイドの投与にて軽快しており、メサラジン8錠の内服にて安定していた。平成16年の8月に血便、下痢、左下腹部痛、体重減少を認め、同時に健忘症状が認められたため当院を受診、入院となった。検査所見では白血球13000/μl、CRP5.5mg/dlと炎症反応が高値であり、大腸内視鏡検査では直腸からS状結腸にかけて連続性に粘膜の発赤、浮腫、点状出血を認め、潰瘍性大腸炎の再燃として合致する所見であった。頭部MRIでは異常所見は認めなかったが、脳血流シンチグラフィーで側頭葉に血流の低下を認めた。健忘の発症が潰瘍性大腸炎の急性増悪と一致していたことから、白血球除去療法を行ったところ消化器症状、健忘ともに改善し、第14病日に退院となった。1ヶ月後の脳血流シンチグラフィーでは側頭葉の血流の低下は改善していた。潰瘍性大腸炎の合併症として、関節炎、原発性硬化性胆管炎、上強膜炎、壊疽性膿皮症などがあるが、中枢神経系の合併症は稀である。今回我々は潰瘍性大腸炎の急性増悪に伴い一過性健忘をきたしたと考えられる、稀な1例を経験した。一過性健忘の発症に潰瘍性大腸炎の増悪と共通の免疫学的な機序が関与している可能性も考えられ、示唆に富む症例と考え報告した。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 一過性健忘