セッション情報 一般演題

タイトル 116:

ガストリノーマとインスリノーマを合併したMENI型の一例

演者 高田 朋彦(東京医科歯科大学 総合診療部)
共同演者 中村 典明(東京医科歯科大学 肝胆膵・総合外科), 伴 大輔(東京医科歯科大学 肝胆膵・総合外科), 工藤 篤(東京医科歯科大学 肝胆膵・総合外科), 野口 典男(東京医科歯科大学 肝胆膵・総合外科), 真田 貴弘(東京医科歯科大学 肝胆膵・総合外科), 高松 督(東京医科歯科大学 肝胆膵・総合外科), 川村 徹(東京医科歯科大学 肝胆膵・総合外科), 寺本 研一(東京医科歯科大学 肝胆膵・総合外科), 有井 滋樹(東京医科歯科大学 肝胆膵・総合外科)
抄録 症例は64歳女性。家族歴では、同胞に副甲状腺腫瘍および脳腫瘍を認めた。既往歴として約25年前に、十二指腸潰瘍にて幽門側胃切除(B-I再建)を施行。2004年6月には副甲状腺過形成にて副甲状腺摘出術を施行。胃切除後も2~3年に一回程胃潰瘍を繰り返していたが、2004年2月、上腹部痛出現し、吻合部潰瘍の診断で近医入院。高Ca血症、ガストリン高値を認め、MENI型が疑われた。精査加療目的に当院入院となった。入院時のガストリンは1370pg/mlと高値。CTでは膵頭部に、早期相で造影効果を認める1cm以下の腫瘍性病変を2個認め、単純CTでは膵体部に1cm大のHigh density areaを認めた。腹部血管造影では、膵鈎部に腫瘍濃染像として描出された。選択的動脈内セクレチン負荷試験では、胃十二指腸動脈においてのみ、セクレチンに対するガストリン値の上昇を認めた。またサンドスタチン受容体シンチグラフィーでは病変は描出されなかった。上部内視鏡検査では異常は認められなかった。以上より膵頭部領域の多発ガストリノーマと診断し、2004年9月9日に手術を施行。膵頭部の2つの病変は、一つは十二指腸壁内に存在、もう一つは膵前面のリンパ節であった。また膵体部の腫瘍も核出した。術中迅速診にて、3個とも内分泌腫瘍と診断。摘出後、術中セクレチン負荷試験を施行し、ガストリンの異常反応が消失したことを確認。固定標本では腫瘍は十二指腸の粘膜下層から発生したものであり、十二指腸原発と診断、もう一方は、リンパ節転移であった。免疫組織学的検討から、膵頭部病変はガストリン陽性であり、膵体部の腫瘍は、インスリン陽性であった。以上よりリンパ節転移を伴った悪性のガストリノーマとインスリノーマが併存したMENIと診断した。本例は、リンパ節転移を有していたことから、臨床的には悪性と判断した。また、MENI型に合併する膵病変は、インスリノーマと、ガストリノーマを合併することが多いとされており、注意を要する必要があると考えられた。
索引用語 MEN I 型, ガストリノーマ