セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-良性疾患1

タイトル 消P-121:

当院におけるプロトンポンプ阻害薬内服中に増大した胃底腺ポリープの検討

演者 岸野 真衣子(東京女子医大・消化器内科)
共同演者 中村 真一(東京女子医大・消化器内科), 山本 果奈(東京女子医大・消化器内科), 春山 浩美(東京女子医大・消化器内科), 石川 一郎(東京女子医大・消化器内科), 小西 洋之(東京女子医大・消化器内科), 白鳥 敬子(東京女子医大・消化器内科)
抄録 (検討1)当院で2010年10月から12月に上部消化管内視鏡検査を行った1556例に関してプロトンポンプ阻害薬(以下PPI)内服群419人と非内服群1134人に分け、胃底腺ポリープ(以下FGP)の有無、性別、年齢を解析、検討した。その結果、非内服群でのFGP症例は6.2%(70/1134)、内服群では内服期間1年以内のFGP症例は6.3%(13/205)、1年以上3年未満の症例は10.2%(14/137)、3年以上の症例は16.3%(13/80)であった。(検討2)2003年10月から2010年12月に当院で実査した上部消化管内視鏡検査で胃底腺ポリープを認め、PPI内服後に出現、または明らかに増大、増加傾向を示した18例を対象とし臨床、組織学的特徴を検討した。男女比は4対14、平均年齢は65.9歳、内視鏡所見上、全例背景胃粘膜に萎縮性変化を認めなかった。PPI内服開始後からポリープ出現、あるいは明らかな増大を認めるまでの平均期間は34.7±11.3ヶ月であった。ポリープの外観はいずれも増大とともに水腫様外観を伴っていた。このうち20mmを超える2症例のFGPに対して内視鏡的切除を施行した。組織学的診断は2症例ともFGPであり、胃底腺組織の腺管の嚢胞状拡張が著明であった。(結語)胃食道逆流症などの胃酸関連の症状、疾患に対してプロトンポンプ阻害薬を投与する機会が臨床の現場では増えている。その長期投与によりFGPの出現、増大傾向を認めた症例が報告されているがその病態や機序に関しては不明なところが多い。当院での検討では内服期間が長期になるにつれてFGPを有する割合が増え、増大したポリープの肉眼所見の特徴として水腫様外観、病理組織学的特徴として腺管の嚢胞状拡張を認めた。
索引用語 プロトンポンプ阻害薬, 胃底腺ポリープ