セッション情報 パネルディスカッション1(肝臓学会・消化器病学会合同)

B型肝炎再活性化の予知・予防そして治療

タイトル 肝PD1-10追:

抗腫瘍剤・免疫抑制剤使用時のHBVマーカーの検討

演者 安田 諭(大垣市民病院・消化器内科)
共同演者 熊田 卓(大垣市民病院・消化器内科), 豊田 秀徳(大垣市民病院・消化器内科)
抄録 【目的】免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎が時には致死的となるため近年注目され2009年には対策ガイドラインが提示された。しかし固形癌等の一般の化学療法時にどの程度発症するかは意外と知られてはいない。今回われわれはよく使用される薬剤でのB型肝炎再活性化について解析した。【方法】対象は2006年から2011年の間に抗腫瘍剤もしくは免疫抑制剤で治療された2658例である。内訳はオキザリプラチン(L-OHP)299例、シスプラチン(CDDP)567例、ゲムシタビン(GEM)570例、リツキシマブ(R)275例、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(TS-1)331例、メソトレキセート(MTX)296例、プレドニゾロン(PSL)314例であった。これらの症例のHBs抗原、HBc抗体、HBs抗体、HBVDNA量および核酸アナログ(NA)使用状況について解析した。【成績】L-OHP、CDDP、GEM、R、TS-1、MTX、PSL使用例でのHBs抗原の測定率はそれぞれ97.3%、96.6%、97.4%、99.3%、96.4%、88.2%、93.6%であった。しかしHBs抗原陰性例でのHBc抗体/HBs抗体の測定率は同様にそれぞれ15.4%、16.7%、9.1%、71.6%、18.7%、34.8%、17.2%とR例を除き低率であった。測定例でのHBc抗体/HBs抗体の陽性率は同様にそれぞれ27.3%、26.7%、34.0%、38.0%、28.8%、25.8%、30.0%であった。HBc抗体/HBs抗体の陽性例でのHBVDNAの測定率は同様にそれぞれ16.7%、54.2%、52.9%、89.0%、35.3%、69.6%、53.3%でR例で高かった。B型肝炎の再活性化はHBs抗原陰性例でCDDP例に1例(0.3%)、R例に9例3.4%、TS-1例に1例(0.3%)認められ、全例にNAが投与された。R例の投与のタイミングが遅れた1例が劇症化して死亡した。【結論】R例を除き、B型肝炎再活性化に関する認識が希薄である。頻度が少ないがR例以外でも2例の再活性化が確認された。
索引用語 B型肝炎, 再活性化