セッション情報 一般演題

タイトル 115:

最近の膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)自験例の検討

演者 吉田 仁(昭和大学 医学部 第二内科)
共同演者 池上 覚俊(昭和大学 医学部 第二内科), 塙 勝博(昭和大学 医学部 第二内科), 山崎 貴久(昭和大学 医学部 第二内科), 本間 直(昭和大学 医学部 第二内科), 北村 勝哉(昭和大学 医学部 第二内科), 今村 綱男(虎の門病院 消化器科), 新川 淳一(昭和大学 医学部 第二内科), 田中 滋城(昭和大学 医学部 第二内科), 平出 綾子(昭和大学 医学部 第二内科), 野津 史彦(昭和大学 医学部 第二内科), 井廻 道夫(昭和大学 医学部 第二内科)
抄録 【背景・目的】膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は,slowly growing neoplasmとして知られている一方,通常型膵管癌の前癌病変,また,異所性かつ同時性合併病変として報告されており,手術適応基準の画一化が望まれている.術前診断や,膵炎合併例における膵管ドレナージ目的でERCPが重要視されてきたが,最も多い経過観察例などでは腹部超音波,CT,MRCPなど侵襲の少ない検査が簡便かつ有用と考えられる.最近のIPMN自験例を解析し,診断法,治療基準を検討する.【対象・方法】対象は,2003年11月以後当施設に受診したIPMN 34例(男女比 25:9,平均年齢64.5歳).診断には腹部超音波,CT,MRCP,ERCP,EUSを用いた.患者同意のもと,細胞診には,ERCP下で膵管擦過・剥脱上皮,膵管洗浄液を,EUS下で嚢胞穿刺液を用いた.【成績】年齢内訳は男66.7歳、女58.6歳と男性が高齢であった.IPMNの形態は,主膵管型:5例,分枝膵管型:25例,混合型:4例,嚢胞径25mm以上は7例であった.主膵管径は7mm以上が4例,結節状隆起が示唆されたのは4例で高さ6mm以上は2例であった.膵炎合併は7例,経乳頭的膵管ステント留置は1例.手術は体尾部切除が1例,遠隔転移を伴う膵管内乳頭粘液性腺癌は1例であった.膵管洗浄および擦過細胞診の施行例はすべて陰性,嚢胞液細胞診で擬陽性が1例で,同症例の摘出標本の病理組織学的診断は膵管内乳頭粘液性腺腫であった.MRCPにより嚢胞の部位および形態,結節状隆起の有無の診断が,腹部超音波,EUSにより隆起高の診断が可能であった.検討期間中の死亡例はなかった.【考察】1.男性症例は女性に比べ高齢であった.2.膵管細胞診では陰性例が多く分枝膵管型IPMNが多いことと関連すると推定された.一方,EUS下嚢胞穿刺液細胞診は手術組織所見と一致し有用であった.3.MRCP,腹部超音波により分枝膵管型,結節状隆起の診断が可能であった.4.主膵管型IPMN,膵管ステントなどの治療にはERCPが有用であった.5.予後良好例が多く,治療基準の判定には十分な観察期間を要すると考えられた.
索引用語 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN), MRCP