セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-良性疾患2

タイトル 消P-126:

高齢者の出血性胃十二指腸潰瘍症例の検討

演者 岡本 康治(松山赤十字病院・胃腸センター(消化器科))
共同演者 川崎 啓祐(松山赤十字病院・胃腸センター(消化器科)), 蔵原 晃一(松山赤十字病院・胃腸センター(消化器科))
抄録 【目的】高齢者の出血性胃十二指腸潰瘍の臨床的特徴を明らかにすること【方法】最近9年2か月間に当センターで内視鏡的止血術を施行した出血性胃十二指腸潰瘍567例を対象とした。567例をWHOの定義に基づき、64歳以下の非高齢者群、65~74歳までの前期高齢者群、75歳以上の後期高齢者群に分類し各群の臨床像を遡及的に比較検討した。さらに検討期間を前半と後半(各4年7か月間)に分け両期間の各群の臨床像を比較検討した。【成績】対象567例は平均年齢66.7歳、男性380例、女性187例であった。567例は前期高齢者群130例(22.9%)、後期高齢者群206例(36.3%)、非高齢者群231例(40.8%)に分類された。来院時平均Hb値(g/dl)は前期高齢者群8.8、後期高齢者群8.1、非高齢者群9.8で血清HPIgG抗体陽性率は前期高齢者群56.7%、後期高齢者群42.3%、非高齢者群78.4%で後期高齢者群は他の2群と比べ有意に来院時平均Hb値、血清HPIgG抗体陽性率が低値であった(p<0.05)。併用薬剤の検討ではアスピリンを含むNSAIDは非高齢者群62例(26.8%)/前期高齢者群60例(46.2%)/後期高齢者群119例(57.8%)に使用され後期高齢者群で有意にNSAID使用率が高かった(p<0.05)。特にアスピリンは非高齢者群21例(9.1%)に使用され後期高齢者群は非高齢者群に比べ有意にアスピリン使用率が高かった(p<0.01)。内視鏡所見(出血部位、Forrest分類)では3群間において差は認めなかった。内視鏡的止血率は3群間において差は認めなかったが止血不能8例中7例が後期高齢者群であった。検討期間を前半(264例)と後半(303例)にわけ検討したところ後期高齢者群は前半84例、後半122例とで有意な増加傾向を認め、特にNSAID使用率が有意に増加(前半47.6%から後半64.8%)していた(p<0.05)。【結論】出血性胃十二指腸潰瘍567例中、前期高齢者群130例(22.9%)、後期高齢者群206例(36.3%)を占めていた。特に後期高齢者群は増加傾向にあり、アスピリンを含むNSAID使用率が高く、来院時平均Hb値が低く、止血不能例も多い。後期高齢者におけるNSAID潰瘍の予防が重要と考えた。
索引用語 高齢者, 出血性胃十二指腸潰瘍