セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)胃-良性疾患2 |
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タイトル | 消P-127:高齢者における出血性胃・十二指腸潰瘍は発症予防が重要である |
演者 | 高嶋 志保(香川県立中央病院・消化器内科) |
共同演者 | 石川 茂直(香川県立中央病院・消化器内科), 稲葉 知己(香川県立中央病院・消化器内科) |
抄録 | 【目的】高齢者における出血性胃・十二指腸潰瘍の特徴を明らかにする。 【方法】対象は、2000年1月から2010年12月の間に吐血あるいは下血にて緊急内視鏡止血を行った出血性胃・十二指腸潰瘍390例(男性286例、女性104例、平均年齢67.5±14.9歳)である。70歳以上の高齢群194例と69歳以下の非高齢群196例を比較検討した。 【成績】高齢群と非高齢群との比較ではいずれも実数は男性が多いものの、高齢群で女性の割合が多く、飲酒、喫煙者の割合は有意に低かった(いずれもp<0.0001)。潰瘍の原因としてH.pylori陽性率は80%台で差がなく、低用量アスピリンを含むNSAIDsの服用者は高齢群で65.5%(128/194)と非高齢者の35.7%(70/196)より高率であった(p<0.0001)。また、高齢群では低用量アスピリン以外の抗血栓療法を行われている割合が16.5%と非高齢群の3.6%より高く、基礎疾患重篤度指標であるCharlson Comorbidity Index(CCI)は1.8±1.6と非高齢群の1.0±1.4に比較して有意に高い結果であった(いずれもp<0.0001)。潰瘍既往歴を有する患者は高齢群で24.2%(47/194)、非高齢群で27.6%(54/196)と共に高率であった。内視鏡止血成功率は高齢群で97.9%、非高齢群で98.5%と両群とも高率であったが、高齢群では死亡率が11.3%(22/194)と非高齢群の4.1%(8/196)に比べて有意に高い死亡率であった(p=0.0077)。全死亡例30例の死亡原因は最終的に止血不能での死亡は2例(高齢群で1例、非高齢群1例)のみで、他の28例は基礎疾患の増悪あるいは合併症併発が死亡原因であった。高齢群194例に関して、死亡例22例と非死亡例172例を比較した。多変量解析で、基礎疾患重篤度(CCI3≦)(Odds比9.03[95%CI3.66-30.12]、p=0.0002)、十二指腸潰瘍(Odds比3.70[1.42-8.33]、p=0.0468)が独立した死亡の危険因子であった。 【結論】高齢者の出血性胃・十二指腸潰瘍はNSAIDsの関与が大きく、内視鏡止血は可能であるが、いったん発症すれば致命的になりうる。潰瘍発症予防を考える上で潰瘍既往歴と重篤度な基礎疾患に留意する必要がある。 |
索引用語 | 出血性潰瘍, 高齢者 |