セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-良性疾患2

タイトル 消P-129:

胃潰瘍に伴う上腹部症状に対するH2RA+エグアレンナトリウム併用治療の効果~PPIとの多施設、2群間、前向き比較検討~

演者 藤澤 智雄(松江赤十字病院・消化器内科)
共同演者 濱本 直治(はまもと内科クリニック), 濱本 幸子(はまもと内科クリニック), 橋本 朋之(はしもと内科クリニック), 吉野 生季三(津田小学校前よしの医院), 板倉 滋(板倉胃腸科クリニック), 古田 賢司(島根大・2内科), 福原 恵子(あべ医院), 武田 仁志(武田クリニック)
抄録 【目的】日常の胃潰瘍診療においては、潰瘍治癒と共に早期の自覚症状改善が重要となるが、どの薬剤の使用がすぐれているかについてはエビデンスが十分でない。そこで今回我々は、早期の自覚症状改善効果を特徴に持ち、H2受容体拮抗薬(H2RA)と併用して使用されるエグアレンナトリウム(egualen)について、症状日誌と出雲スケールを用い、PPIと比較した多施設、2群間、前向き比較試験をおこなったので報告する。【方法】胃潰瘍と診断された患者91名について、第1群はPPI、第2群はH2RA+egualenを1週間投与し、症状日誌(投薬前日と7日目までの毎日)を用いて自覚症状スコアの改善率を経時的に検討した。また出雲スケールを用いて症状に伴うQOLの変化についても検討した。自覚症状の程度は症状日誌、出雲スケールとも症状の程度で6段階に分類して比較、投薬前日に対しスコアが改善した症例を改善例とした。有意差検定には、カイ2乗検定を用いた。【成績】症状日誌についてはエントリーした全症例での解析の結果、胃痛、胃もたれ、吐き気について3日後、7日後ともにH2RA+egualenがPPIを改善率で上回り、胃の張り、食欲については3日後、7日後ともPPIが上回ったが、いずれも有意差はなかった。出雲スケールについては、記入脱落例を除く全症例での解析の結果、胸焼け、胃痛についてはH2RA+EgualenがPPIを改善率で上回り、胃もたれではPPIが上回ったが、いずれも有意差はなかった。【結論】胃潰瘍に伴う上腹部症状に対するH2RAとegualenの1週間での改善効果は、PPIと比較して劣っていなかった。特にPPI投与に注意を要する症例、例えばワーファリン、クロピドグレルなど相互作用のリスクのある薬剤を服用中の例などには、H2RA+エグアレンナトリウムの併用治療も選択肢になると考えられた。
索引用語 胃潰瘍, エグアレンナトリウム