セッション情報 パネルディスカッション1(肝臓学会・消化器病学会合同)

B型肝炎再活性化の予知・予防そして治療

タイトル 肝PD1-11:

De novo B型肝炎におけるHBV遺伝子変異と予後との関連

演者 梅村 武司(信州大・消化器内科)
共同演者 田中 榮司(信州大・消化器内科)
抄録 【目的】 De novo B型肝炎における劇症化とウイルス変異との関連を解析した。【方法】 厚生労働省研究班(熊田博光班長)で行った全国調査では2000年から2004年、2006年から2010年の10年間に計39例のde novo B型肝炎症例と急性B型肝炎232例が登録された。保存血清のあるde novo 肝炎(劇症化5例、非劇症化11例)と急性肝炎(劇症化3例、非劇症化7例)症例を対象に、劇症化との関連が報告されている7カ所の遺伝子変異(T1753V、T1754V、T1762A、G1764A、G1896A、G1899A、A2339G)について関連を検討した。【成績】 今回対象としたde novo肝炎と急性肝炎の遺伝子型別頻度は(A/B/C: 0/9/7 vs. 2/1/7)であった。De novo肝炎症例における劇症化例と非劇症化例の遺伝子型別頻度は(B/C:3/2 vs. 6/5)であり、遺伝子変異の陽性/陰性比率は(T1753V: 0/5 vs. 2/9、T1754V: 1/4 vs. 2/9、T1762A:2/3 vs. 2/9、G1764A: 2/3 vs. 2/9、G1896A: 3/2 vs. 6/5、G1899A: 2/3 vs. 3/8、A2339G: 0/5 vs. 0/11)であり、いずれも両群間で有意な差はなかった。一方、急性肝炎例では、劇症化例と非劇症化例の比較で2カ所(T1753V: 3/0 vs. 1/6;P<0.05、G1896A: 3/0 vs. 0/7; P<0.01)において有意差を認めた。De novo肝炎と急性肝炎の比較では、劇症化症例(T1753V: 0/5 vs. 3/0 ; P<0.05)と非劇症化例(G1896A: 6:5 vs. 0/7; P<0.05)でそれぞれ1ヶ所に有意な差を認めた。【考案】De novo肝炎では、今回検討した7カ所の遺伝子変異について劇症化と関連するものはなかった。De novo肝炎と急性肝炎の比較では、劇症化の有無別に検討した場合、 頻度の異なる遺伝子変異が存在した(1753、1896)。【結語】De novo肝炎の劇症化と遺伝子変異の関係は未だ不明な点が多く、今後さらに多数例による解析が必要である。
索引用語 再活性化, 遺伝子変異