セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-癌2

タイトル 消P-137:

超高分化型早期胃癌と胃腺腫における癌幹細胞マーカーの局在性

演者 中島 由加里(藤田保健衛生大・消化管内科)
共同演者 柴田 知行(藤田保健衛生大・消化管内科), 中村 正克(金沢医大・消化器内科), 田原 智満(The University of Texas M.D. Anderson Cancer Center, Leukemia Department), 大久保 正明(藤田保健衛生大・消化管内科), 米村 穣(藤田保健衛生大・消化管内科), 吉岡 大介(藤田保健衛生大・消化管内科), 神谷 芳雄(藤田保健衛生大・消化管内科), 石塚 隆充(藤田保健衛生大・消化管内科), 平田 一郎(藤田保健衛生大・消化管内科)
抄録 【目的】癌の抗癌剤耐性などに関与し,自己増殖能を持つ癌幹細胞との存在が提案され,種々の癌でその存在が確認されつつある.胃癌においてもフローサイトメトリーと移植実験により癌幹細胞のマーカーとしてCD133/prominin-1とCD44が候補となっている.しかし,これらマーカーと癌の発生・進展段階での局在については不明である.上記癌幹細胞マーカーの超高分化型早期胃癌と胃腺腫での局在につき免疫染色で検討しNBI拡大内視鏡所見とも対比した.【方法】上部消化管内視鏡下生検で腺腫と診断された0-IIa型腫瘍15病変につき検討した.同病変は内視鏡的NBI拡大観察の後,内視鏡的に切除され,8例が最終診断で癌であり,7例が腺腫であった.切除切片を抗CD133/prominin-1抗体と抗CD44抗体で免疫染色し染色性の強さで0-1にスコア化し,局在の違いについては主な発現領域を腺管構造のS, M, Lの三層に分類した. また,NBI拡大内視鏡所見では腺管構造内の不整微小血管像(ISIMVP)とfine networkとに分類し癌幹細胞マーカーとの関連につき検討した.【成績】両癌幹細胞マーカーの発現は異常腺管に限局していたが,それぞれの局在性は異なっていた.CD133は腺管基部に限局して認められ,CD44は特に腺頸部で発現していた.CD44の発現局在は,腺腫,癌とで違いは認めなかったが,CD133は癌で広く分布する傾向が認められた.CD133,CD44の染色スコアの平均値に腺腫と癌で有意差は認められなかった(それぞれ1.4 vs 1.3, 1.5 vs 1.6).内視鏡像との関連ではfine network群でCD133の染色スコアが高い傾向が認められたが有意差はなかった.【結論】 今回の結果から両癌幹細胞マーカーは異なる局在性を示し,癌化の早い段階で発現していることが判明した.異常血管の構築との関連は更なる検討が必要と考えられた.
索引用語 癌幹細胞, 胃癌