セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-癌2

タイトル 消P-138:

胃がん診断における血清VEGF値、sVEGFR-2値とペプシノゲン値

演者 菊地 正悟(愛知医大・公衆衛生学)
共同演者
抄録 【目的】40歳以上の未分化型胃がんは、血清ペプシノゲン値(以下PG)によるスクリーニングで見逃されることが少なくない。血清中の血管内皮増殖因子(VEGF)は、胃がんの予後と関連すること、健常者に比べて胃がん症例で高値を示すことが明らかになっている。そのレセプターの一種であるVEGFR-2は血清中に遊離して存在する(sVEGFR-2)。VEGF、sVEGFR-2の未分化型がん診断能を検討した。方法】 関東地区の3施設で外科治療を受けた胃がん患者164例と施設検診受診者164人の血清(術前採血)を用いてPG I とII、VEGF、VEGFR-2を測定した(文献)。PG Iが70ng/mL以下かつPG I/II比が3以下、VEGF 420pg/mL以上、VEGFR-2 8520pg/mL以下を陽性として、症例の陽性率(感度に相当)、対象の陰性率(特異度に相当)を求めた。また、分化型 63例(por1を含む)、未分化型101例に分けた分析も行った。【成績】(感度, 特異度)は全対象、分化型、未分化型でそれぞれ、PGが(54.9%, 65.2%)、(60.3%, 65.1%)、(65.3%, 59.4%)、VEGFが、(60.4%, 57.9%)、(63.5%, 65.1%)、(58.4%, 53.5%)、VEGFR-2が(61.0%, 60.4%)、(58.7%, 55.6%)、(62.4%, 63.4%)であった。【結論】VEGFやVEGFR-2は、PGと異なり胃に特異的なマーカーではない。今回の対象では、PGの診断精度は悪くはないが、未分化型胃がん、特に印環細胞がんに対する精度は必ずしもよくない。現在提唱されている、PGと Helicobacter pylori抗体を組み合わせた血清スクリーニングでは、PGのこの弱点を補うことができれば見逃しが減少する。未分化がんで低下する血清sVEGFR-2値は、この弱点を補う候補となり得ると思われる。【文献】 Cancer Sci. 2011;102:866-9. 本研究はこの論文の共著者:小幡由紀、柳生聖子、林櫻松、中島聰總、小林理、菊一雅弘、牛島良、黒沢美智子、上田純子との共同研究である。
索引用語 VEGFR-2, 胃がん