セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)胃-癌3 |
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タイトル | 消P-141:当院における高齢者早期胃癌に対する内視鏡的粘膜切開剥離術の現状 |
演者 | 玄 泰行(京都府立与謝の海病院・消化器科) |
共同演者 | 加藤 萌由(京都府立与謝の海病院・消化器科), 廣瀬 亮平(京都府立与謝の海病院・消化器科), 井上 健(京都府立与謝の海病院・消化器科), 土肥 統(京都府立与謝の海病院・消化器科), 酉家 章弘(京都府立与謝の海病院・消化器科), 城 正泰(京都府立与謝の海病院・消化器科), 大野 智之(京都府立与謝の海病院・消化器科), 時田 和彦(京都府立与謝の海病院・消化器科) |
抄録 | 【背景】高齢者の早期胃癌に対する内視鏡的粘膜切開剥離術(ESD)は胃癌死を減らし、生命予後に寄与することが期待されるが、基礎疾患の存在から偶発症の増加も懸念される。【目的】高齢者に対するESDの有効性と安全性について評価する。【対象と方法】2007年1月~2011年3月に当科で施行した91症例、109病変の早期胃癌に対する98回のESDを対象とした。75歳以上の高齢群(N=59)と74歳以下の非高齢群(N=39)に分け、基礎疾患(心疾患、脳血管障害、慢性腎不全、肝硬変、慢性呼吸器疾患)、抗血栓薬服用の有無、ESDの成績として一括切除率、側方断端陰性率、偶発症を比較した。【結果】基礎疾患は高齢群で22/59(37%)、非高齢群で7/39(18%)、抗血栓薬服用は高齢群で18/59(31%)、非高齢群で5/39(13%)で認め、いずれも高齢群で有意に多かった(共にP=0.04)。対象病変は高齢群:適応病変35回、適応拡大病変15回、適応外病変9回、非高齢群:適応病変22回、適応拡大病変12回、適応外病変5回で、差は認めなかった。一括切除率は高齢群58/59(98.3%)、非高齢群39/39(100%)、側方断端陰性率は高齢群54/59(91.5%)、非高齢群38/39(97.4%)で、差はなかった。なお、適応外病変は、高齢群では9例中5例、非高齢群では5例中4例で追加手術が施行された。全例で経過観察中に転移再発は認めず、胃癌死は認めなかった。偶発症は 穿孔が高齢群2/59(3.4%)、非高齢群1/39(2.6%)、後出血が高齢群2/59(3.4%)、非高齢群3/39(7.7%)と差は認めなかった。COPDを有する高齢者で穿孔後にCO2ナルコーシスを併発し、一時的な人工呼吸管理を要した症例、虚血性心疾患のある非高齢者で後出血の後に、急変、死亡した症例を認めた。【結語】高齢者は非高齢者と比べ、基礎疾患、抗血栓薬服用の割合が高かったが、ESD治療成績や偶発症の発生率に影響は与えなかった。しかし、基礎疾患を有する症例においては偶発症が重症化することがあり、慎重な対応が必要と考えられた。 |
索引用語 | 早期胃癌, ESD |