セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-癌3

タイトル 消P-142:

高齢化社会における、胃腫瘍性病変に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)後出血に対する抗血小板薬や基礎疾患の影響とその対応策の検討

演者 末吉 弘尚(大阪労災病院・消化器内科)
共同演者 小森 真人(大阪労災病院・消化器内科), 中村 昌司(大阪労災病院・消化器内科), 鈴木 麻菜(大阪労災病院・消化器内科), 吉井 俊輔(大阪労災病院・消化器内科), 吉岡 鉄平(大阪労災病院・消化器内科), 有本 雄貴(大阪労災病院・消化器内科), 大川 雅照(大阪労災病院・消化器内科), 平尾 元宏(大阪労災病院・消化器内科), 佐藤 雅子(大阪労災病院・消化器内科), 山田 幸則(大阪労災病院・消化器内科), 吉原 治正(大阪労災病院・消化器内科)
抄録 【目的】早期胃癌に対してESDは保険収載され、手技も確立されてきたが、合併症として出血や穿孔を念頭におく必要もある。近年、止血手技やデバイスの開発により、内視鏡的止血術は比較的容易になったが、止血困難例も今なお存在している。一方、高齢化社会に伴い、虚血性心疾患や脳血管障害の予防目的として抗血小板薬・抗凝固薬を用いる機会が急増している。我々は、ESD後出血に及ぼす影響因子について検討した。【方法】対象は、2005年4月から2011年3月までに、当院にて胃腫瘍性病変に対してESDを施行された227症例(男性163例、女性64例、平均年齢66.6±8.3歳)。ESD後出血を、「ESD終了時には確認されず、術後潰瘍が治癒確認されるまでの間の出血」と定義した。ESD後出血におよぼす影響について、患者の年齢(65歳以上とそれ未満)、抗凝固薬内服の有無、抗血小板薬内服の有無、病変部位(噴門部~胃体部と角部~幽門前庭部)、病変径(20mm以下と超える病変)、基礎疾患として心不全・肝硬変・腎不全(透析)の有無により、多変量解析を施行し検討を行った。【成績】ESD症例227例中、後出血は21例(9.3%)に認め、その内1例は内視鏡的止血困難にて外科手術を要した。上記8項目について多変量解析した結果、抗血小板薬内服が有意に影響を及ぼす因子であり(OR 4.0, 95%CI 1.3-11.8, p=0.013)、透析施行も傾向を認めた(OR 4.7, 95%CI 0.83-25.9, p=0.08)。【結論】抗血小板薬内服はESD後出血のリスク因子になり得、加えて、透析施行もなり得る可能性が示唆された。高齢化社会に伴い抗血小板薬内服患者や透析施行患者は増加しており、術後は後出血のリスクを念頭におき特に注意深く経過を見守る必要があると考える。
索引用語 ESD, 後出血