セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-癌4

タイトル 消P-150:

緩和医療のみを行った胃癌症例の検討

演者 村上 真基(新生病院・消化器科DELIMITER上田腎臓クリニック・外科)
共同演者 杉山 將洋(新生病院・消化器科), 石曽根 聡(上田腎臓クリニック・外科)
抄録 目的:胃癌に対する治療は外科的切除が第一選択で、困難な場合には姑息的手術、化学療法等が選択され、緩和医療のみが選択されることは少ない。今回、我々が経験した「緩和医療のみを行った胃癌」症例について検討した。対象:2004~2010年の間に死亡した胃癌症例のうち手術、化学療法、放射線療法を行わず、狭義の緩和医療のみを行った23例について、年齢、性別、主症状、積極的治療を行わなかった理由、生存期間等について検討を加えた。成績:年齢は平均86歳(70~96歳)、70歳代4例、80歳代11例、90歳代8例、性別は男15女8例であった。初発時の症状は下血・黒色便・貧血(9例)、食欲不振(8例)、全身倦怠感、体重減少等であった。経過中に新たに出現した症状は疼痛が多かった(8例)。緩和医療のみを選択した理由は高齢13例、認知症8例、本人の希望4例、合併症、全身状態不良、家族の拒否等であった。進行癌は21例、早期癌も2例認めた。病期I期2例、II及びIII期4例、IV期4例、不明13例であった。内視鏡診断から死亡までの生存期間は6~1003日、中央値131日、平均217日であった。また、在宅期間は0~940日、全経過を在宅で過ごした症例も2例認めた。全経過中に輸液を行わなかった症例は18例であった。結論:(1)近年は高齢者に対しても安全に手術・治療を行えるようになったため「非治療」症例の報告は少なく、「治療」症例との比較は難しい。(2)我々の症例中には、手術で根治可能と思われる症例や進行度を十分に検索せずに方針が決められた症例も少なくなかった。(3)非治療を選択した理由は担当医の判断による高齢・認知症が多く、「本人の希望」に関しても「高齢だから治療しない」というものがあった。(4)生存期間中央値は131日と決して長くないが、在宅期間を確保できた症例、輸液非施行例などは多く、緩和医療としては良い成績であると考えられた。(5)以上より、「緩和医療のみ」という診療は一つの選択肢として常に念頭に入れる必要があると思われた。
索引用語 胃癌, 緩和医療