セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-治療(化学療法)1

タイトル 消P-153:

当院における高齢者胃癌治療の現状

演者 船越 信介(慶應義塾大・消化器内科)
共同演者 中村 公子(慶應義塾大・消化器内科), 足立 雅之(慶應義塾大・消化器内科), 樋口 肇(慶應義塾大・消化器内科), 高橋 常浩(慶應義塾大・一般消化器外科DELIMITER慶應義塾大・腫瘍センター), 竹内 裕也(慶應義塾大・一般消化器外科), 高石 官均(慶應義塾大・腫瘍センター), 北川 雄光(慶應義塾大・一般消化器外科DELIMITER慶應義塾大・腫瘍センター), 日比 紀文(慶應義塾大・消化器内科)
抄録 【背景】:高齢者社会を迎えて本邦の高齢者胃癌患者の増加が予想される。現況では本邦において切除不能進行胃癌に対する標準的治療はS-1+CDDPであるが、75歳以上の高齢者胃癌患者における標準的治療のエビデンスはいまだ確立していない。【目的】:当院における高齢者胃癌の現状と治療の実態を把握するため検討を行った。【対象と方法】: 2003年から2010年までに当院で経験した胃癌717例のうち75歳以上の手術不能進行胃癌55症例を対象とし、後ろ向きに解析して治療法について検討した。S-1+CDDP併用療法をA群(14例, 25.4%)、TS1単剤療法をB 群(15例, 27.2%)、その他の化学療法をC群(15例, 27.2%)、BSCをD群(11例, 20%)に分類した。【結果】:年齢中央値80(75~93)歳、男女比41:14、全生存期間中央値はA/B/C/D群で各々443日、337日、241日、98日であった。投与コース数の中央値はA群におけるS-1+CDDP は2 (1~8), B 群におけるS-1単剤療法は4 (1~15)であり、S-1+CDDP では4例(28.5%)が4コース以上治療可能であり、S-1単剤療法では8例(53.3%)が4コース以上治療可能であった。二次治療移行率はS-1+CDDP 50%、S-1単剤46%であった。治療変更の理由としてA群では病勢進行(PD)9例、薬疹2例、好中球減少症、急性腎不全、下痢1例、肝障害1例、嘔気1例、B 群ではPD9例、薬疹、嘔気、他臓器癌発症、腎機能障害、間質性肺炎各々1例であった。毒性においてCr上昇をA+B群に8例/29例(27.5%)、C+D群に3例/26例(11.5%)とA+B群に多く認めた。TS1+CDDPによる消化器症状、S-1によると思われる薬疹を一部に認めたが、S-1+CDDP併用療法およびS-1単剤療法は認容可能と考えられる。【結語】:S-1+CDDP併用療法は75歳以上の高齢者胃癌患者においてもS-1単剤療法に比し有用である傾向があり、また両者の有害事象の発現に明らかな差は認めなかった。しかし重篤な有害事象の発現には十分注意が必要である。
索引用語 TS1+CDDP, 高齢者胃癌