セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-治療(化学療法)1

タイトル 消P-156:

胃3D-CTによる癌進展度の評価-胃癌化学療法における原発巣効果判定への応用-

演者 高橋 祥(小樽協会病院・消化器内科)
共同演者 黒岩 巌志(小樽協会病院・消化器内科), 平山 眞章(小樽協会病院・消化器内科)
抄録 【背景】悪性腫瘍に対する臨床試験での効果判定にはRECISTガイドラインが用いられ,改訂された胃癌取り扱い規約第14版でもRECIST1.1が採用された.しかし胃癌においてはRECISTにて非標的病変とされる原発巣の効果が予後をより正確に予測するとの報告もあり,内視鏡や造影X線検査などによる原発巣の評価も別途記載することとされているものの,これらの原発巣の評価は術者間のバラツキも大きく効果判定には不向きとされている.
【目的】当院で化学療法を施行した原発巣非切除胃癌について,内視鏡による効果判定と胃3D-CT検査による原発巣の効果判定を行い,内視鏡検査の代用としての胃3D-CTの可能性について検討した.
【対象】当院で2008年4月から2011年3月までに経験した,原発巣非切除胃癌のうち化学療法開始前後での内視鏡検査と胃3D-CT検査にて治療効果判定を行い,両検査の施行が2週間以内であった20例(42回)を対象とした.内視鏡検査および胃3D-CT検査による効果判定は,「胃癌取り扱い規約」の腫瘍縮小効果の項に準じて判定を行った.以下の検討では内視鏡検査での効果判定結果を基準とし3D-CTでの効果判定結果と対比した.
【結果】内視鏡検査での効果判定ではCR:PR:SD:PD = 2:16:14:10であり,胃3D-CT検査による効果判定ではCR:PR:SD:PD = 0:18:17:7であり,両検査での評価が一致した完全正診率は73.8%(31/42)であった.CR/PR/SDをnon-PD群としPD群と対比した場合,non-PD群は内視鏡検査では76.2%,胃3D-CT検査では83.3%であった.内視鏡検査をgolden standardとした場合,胃3D-CT検査の感度は100%, 特異度は70.0%であった.内視鏡PD判定群のうちSD以上改善と誤診したPD誤診率は30.0%(3/10)であった.PD誤診例は残胃癌症例,胃内送気不十分症例,新病変出現症例であった.
【結論】胃3D-CT検査は検査自体と検査後解析の煩雑さがあるものの感度も高く,良好な成績を得られた.送気量の一定化などの条件設定が可能となれば,化学療法の評価としては内視鏡検査の代用となる可能性が示唆された.
索引用語 胃3D-CT検査, RECIST