セッション情報 |
パネルディスカッション2(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
超音波検査発見胆膵病変の精密検査のストラテジー
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タイトル |
消PD2-1:膵がんに対する体外式超音波検査診断の遡及的検討
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演者 |
金森 明(大垣市民病院・消化器内科) |
共同演者 |
熊田 卓(大垣市民病院・消化器内科), 桐山 勢生(大垣市民病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】進行が早く自覚症状に乏しい膵臓癌において、予後改善のためには早期発見は最も重要な因子の一つと考えられる。体外式超音波検査(US)は簡便で低侵襲であり膵疾患に対する第一に施行すべき検査法である。基幹病院であり2次検査施設である当院での超音波検査を中心とした膵癌診断の遡及的検討を行った。【対象、方法】対象は膵臓癌521例(男:女311:210)、手術:化学療法:BSC群(172:133:216)診断法はCT、US、EUS、ERCPを用い、非手術症例は2006年以降、EUS-FNAもしくは経乳頭的胆管生検を施行し確定診断を得た。診断時の超音波検査の腫瘍および間接所見の指摘の頻度を検討した。診断時より60日以上前にUS検査施行が行われた症例では膵管拡張の有無と膵嚢胞の有無を遡及的に検討した。主膵菅拡張はUSで3mm以上のものとした。【成績】1)膵癌521例(TS1:TS2:TS3:TS4:TSx; 72:264:104:26:55)のうちUSで腫瘍指摘可能であったものは328例(63.0%)であった。このうち主膵菅拡張が221例(67.4%)にみられ、中央値は6.0mm(3-15mm)であった。嚢胞所見は29例(8.8%)にみられ、中央値は20mm(7-78mm)であった。60日以上前にUS施行歴がみられたものは125例みられた。このうち1年以内に施行していたものが45例で全症例の8.6%であった。主膵管の拡張所見は16例にみられた。所見が指摘されてから膵癌と診断されるまでの期間(P1)は中央値で687.5日(82-2815日)。嚢胞所見に関しては18例認め、所見指摘から診断までの期間(P2)は中央値で722.5日(63-2492日)であった。何れの所見を認めたものは3例であった。P1のうち1年以内に指摘されたものは6例でP1の37.5%を占め、P2のうち1年以内に指摘されたものは5例でP2の29.4%であった。【結論】膵癌に対するUSの膵の所見の拾い上げは腫瘍自体の指摘は63%に可能であった。P1、P2ともに1年以上経過している症例が存在していた。今回の遡及的検討では長期にわたり間接所見のみ認める症例があり、より慎重な経過観察対象群に設定する必要があると思われた。 |
索引用語 |
膵臓癌, 体外式超音波検査 |