セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-その他1

タイトル 消P-170:

ESDが血清PG I濃度、I/II比に及ぼす影響についての検討

演者 飯野 勢(弘前大大学院・消化器血液内科学)
共同演者 下山 克(弘前大大学院・消化器血液内科学), 澤谷 学(弘前大大学院・消化器血液内科学), 花畑 憲洋(弘前大大学院・消化器血液内科学), 福田 眞作(弘前大大学院・消化器血液内科学)
抄録 【背景】血清ペプシノーゲン(PG)法で萎縮性胃炎について評価する場合、比較的大きい病変に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)手技は有意な影響を及ぼした(JDDW2010)。症例数を増やし、さらに詳細な検討を行った。【対象】2009年9月から2011年2月に弘前大学消化器内科でESDを施行された100例 (男性67人、女性33人、平均年齢70.7歳) を対象とした。切除粘膜最大径の平均は41.5(15.0-140.0) mm、幽門部病変31例、胃角部病変21例、胃体部病変35例、弓隆部病変3例、2部位以上の複数病変が10例であった。【方法】ESD前日と翌日に採血を行い血清PG I、II濃度を測定。H. pylori感染の有無は便中H. pylori抗原を測定して行った。【結果】全症例のESD前後の比較ではPG I、PG I/II比は有意にESD後に高値であった。切除粘膜の大きさによる検討では、最大径30 mm以上の場合はESD後にPG I、PG I/II比の有意な上昇を認めたが(p< 0.001)、30 mm未満では有意差はなかった。腎機能による検討では、腎機能低下群(eGFR <90 ml/min /1.73 m2)ではESD後にPG I、PG I/II比の有意な上昇を認めたが(p< 0.001)、腎機能正常群(eGFR ≧90 ml/min /1.73 m2)では有意差は認めなかった。PPI内服の有無、H. pylori感染の有無、年齢別(60歳未満、60代、70代、80代)、病変の部位(幽門部、胃角、胃体部)別での検討では、どの場合もPG I、PG I/II比は有意にESD後に高値であった。【結論】ESDを行うことによりPG Iが上昇してPG I/II比も上昇することがあり、PG法で萎縮性胃炎を評価する場合には切除粘膜の最大径が30 mm以上の場合や腎機能低下(eGFR <90 ml/min /1.73 m2)の場合はESD前の採血で評価する必要があると考えられた。
索引用語 PG I 、PG I/II比, ESD