セッション情報 パネルディスカッション2(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

超音波検査発見胆膵病変の精密検査のストラテジー

タイトル 検PD2-2:

当科における膵癌検診のストラテジーと現状

演者 蘆田 玲子(大阪府立成人病センター・検診部)
共同演者 田中 幸子(大阪府立成人病センター・検診部), 片山 和宏(大阪府立成人病センター・肝胆膵内科)
抄録 【目的】我々は1998年より膵精密超音波検査(以下膵エコー)を用いた膵癌検診を行い、膵嚢胞および主膵管の軽度拡張がそれぞれ独立した膵癌の高危険因子であることを明らかにしてきた。現在これら所見を有する人に対し、膵エコーを中心とした定期検査を行っている。今回当科における膵癌検診について検討し今後の問題点を明らかにする。【対象および方法】対象は膵管拡張2.5mm以上あるいは膵嚢胞5mm以上の所見を有し、当科の膵経過観察プラン参加に同意された625例。膵エコーを3又は6ヶ月ごとに行い、造影CTもしくはMRIを年に一回行う。膵エコーは60度の半座位で膵胆道を20~30分かけて観察し、缶入りミルクティー350mlで胃内の空気を追い出し、右側や左側半座位などの体位変換も加える。描出不良な領域がある場合、造影CT、MRI、EUSを追加する。多房性嚢胞や膵管径3mm以上の症例、または経過観察中に所見の増悪を認めた場合はMRCPで確認し必要に応じERP+膵液細胞診を行う。膵内低エコー像を認めた際、もしくは腫瘤が新たに出現した際には造影USやEUSで確認し必要に応じてEUS-FNAを追加する。【成績】2010年4月~2011年3月に施行した膵エコーは1,991件で、そのうち経過観察件数はのべ1171件であった。主膵管拡張2.5 mm以上360例(54.4%)、膵嚢胞を有する症例499例(79.8%)であった。両所見を有する症例は224例(35.8%)であった。同期間中、超音波所見の増悪などを契機に47例(7.3%)に造影CT、18例(2.8%)にMRI、50例(7.7%)に造影US、26例(4.0%)にEUS、36例(5.6%)にERP+膵液細胞診が行われた。その結果7例(1.2%)の膵癌が発見された。(stage 0: 3例、stageI: 1例、stageIII: 1例、stageIVa: 1例、stageIVb: 1例)その他、定期検査として造影CTを98例に、MRIを345例に行った。【結語】膵癌の高危険群に対し定期検査を行うことが重要であると考えられた。早期診断が困難であった症例は全例膵鈎部であり、今後はEUSも積極的に取り入れていく必要性があると考えられた。
索引用語 膵癌, 超音波