セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-その他2

タイトル 消P-173:

当院における時間外緊急上部内視鏡検査の現状

演者 石川 一郎(東京女子医大・消化器病センター)
共同演者 山本 果奈(東京女子医大・消化器病センター), 小西 洋之(東京女子医大・消化器病センター), 岸野 真衣子(東京女子医大・消化器病センター), 太田 正穂(東京女子医大・消化器病センター), 中村 真一(東京女子医大・消化器病センター), 白鳥 敬子(東京女子医大・消化器病センター)
抄録 【目的】時間外の緊急内視鏡検査は前処置不良による観察困難な状態など患者側の問題のみならず、コメディカルや、検査医の時間的、身体的負担など医療側の問題も伴う検査とも言える。検査を行うも問題となる病変が認められず、翌日再検となる場面もしばしば遭遇するため検査適応をめぐっては議論となる場合もある。今回当院における時間外緊急上部内視鏡検査の問題点を明らかにするために臨床的検討を行った。【方法】2009年9月から2011年3月までに当院で時間外緊急上部内視鏡検査を行った患者68例(異物除去や治療後の出血は除く)について症状、患者背景、内視鏡所見、内視鏡治療の有無、ヘモグロビン値などを検討した。【結果】平均年齢は64.7歳(35~89歳)、男女比は56:13であった。疾患別頻度は食道胃静脈瘤24例、胃十二指腸潰瘍16例、癌出血(食道・胃・膵癌十二指腸浸潤)9例、マロリーワイス症候群5例、びらん性胃炎5例、出血源不明5例などであった。しかし、内視鏡による一次止血が必要であった症例は食道胃静脈瘤は22例(91.6%)、胃十二指腸潰瘍は9例(56.2%)、癌出血6例(66.6%)で、マロリーワイス症候群では0例(0%)であった。症状別頻度は吐血(吐下血を含む)は41例、下血(黒色便を含む)は19例であった。そのうち止血処置を要したのは吐血例は28例(68.3%)、下血例は11例(57.8%)であった。また、年齢やヘモグロビン値などでは止血処置の有無に関して優位差はなかった。【結語】当院における時間外緊急上部内視鏡検査では静脈瘤出血の頻度が高く、潰瘍出血は酸分泌抑制剤やピロリ菌除菌療法の普及により以前より少なくなってきている。しかしながら抗血栓療法を受ける患者は増加しており他科かかりつけ患者、入院患者のコンサルトは依然として多い。出血の状況、患者の全身状態、基礎疾患、薬剤投与歴を考慮した緊急内視鏡検査の適応を院内に周知することで、より円滑な運用が可能になると考える。
索引用語 緊急上部内視鏡検査, 時間外