セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-その他2

タイトル 消P-175:

内視鏡的胃瘻増設術(PEG)の偶発症の比較検討

演者 樋口 徹(佐賀県立病院好生館・消化器内科)
共同演者 冨永 直之(佐賀県立病院好生館・消化器内科), 緒方 伸一(佐賀県立病院好生館・消化器内科)
抄録 【目的】胃瘻は嚥下困難で経口摂取が難しい患者の経腸栄養ルートとして広く知られている。近年、従来のPull法・Push法(従来法)に加え、Introducer法やDirect法など、口腔を経由することなく留置できる造設法(直接法)も開発され、治療法にも幅が広がっている。造設法の選択肢が増えたことで、偶発症の発生頻度にも変化が生じている。我々の施設および佐賀大学病院にて施行された過去のデータを基に、偶発症の発生にどのように変化が生じたか検討した。【方法】1992年1月~2010年12月の19年間に佐賀県立病院好生館および佐賀大学医学部附属病院にて施行された523例(内訳は従来法444例、直接法79例)について検討を行った。【成績】偶発症として、創部感染(48例)、術後出血(10例)、バンパー埋没症候群(4例)、瘻孔周囲壊死(3例)、皮膚潰瘍(2例)などが挙げられ、創部感染と術後出血が多かった。従来法と直接法とで、偶発症の発生に差があるか検討したところ、従来法で有意に創部感染が多く認められ、直接法では有意に術後出血が多く認められた。従来法は創部感染が、直接法は出血が比較的多いという報告があるが、今回の検討結果はそれと全く矛盾しない内容であった。またバンパー埋没症候群、瘻孔周囲壊死も従来法が有意に多かった。いずれも瘻孔に圧が加わることで発症することから、チューブ型が留置される従来法に多く発症すると考えられた。【結論】今回、胃瘻を作成した患者の偶発症について検討したが、最も多かった創部感染はほとんどが従来法であり、作成時における抗菌薬の併用は必須と思われる。術後出血は、貧血の進行もなく、ガーゼ圧迫で止血できる程度の軽微な出血ではあったが、直接法は出血する可能性が高いことは認識しておくべきである。今後ますます高齢社会となる日本において、胃瘻の需要は増えると予想されるため、起こりうる偶発症について熟知したうえで、診療にあたる必要があると考えられた。
索引用語 PEG, 偶発症