セッション情報 パネルディスカッション2(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

超音波検査発見胆膵病変の精密検査のストラテジー

タイトル 内PD2-3:

効率的な小膵癌診断を目指した検査法

演者 金 俊文(手稲渓仁会病院・消化器病センター)
共同演者 真口 宏介(手稲渓仁会病院・消化器病センター), 高橋 邦幸(手稲渓仁会病院・消化器病センター)
抄録 【目的】小膵癌診断における各種画像検査の位置づけを明らかにする。
【対象】1997年4月から2011年2月までに切除した病理学的腫瘍径2cm以下のpTS1膵癌39例(全膵癌 866例中4.5%、切除した膵癌198例中19.7%)を対象とした。年齢は49-81歳(中央値 68歳)、男女比は23 : 16、占拠部位は頭部 21、体部 17、尾部 1。
【検討項目】1.初発症状と発見契機、2.モダリティ別の腫瘍描出能・膵癌診断能 : 1) US、2) MDCT、3) MRCP/MRI-DWI(DWI)、4) EUS、3.画像検査の組み合わせによる膵癌診断能
【結果】1.初発症状は、腹痛・背部痛 13(33.3%)、黄疸 9(23.1%)、無症状 17(43.6%)(DM悪化 5、AMY上昇 2、腫瘍マーカー上昇 1)。発見契機となった画像検査は、US 23(59.0%)(腫瘤指摘 9、間接所見のみ 14)、CT 13(33.3%)(腫瘤指摘 7、間接所見のみ 6)、MRCP 2、ERCP 1。2.1) 初回USでの腫瘍描出率は54.1%(20/37)であったが、精査USでは73.0%(27/37)に上昇した。2) MDCTを撮像した33例中膵実質相での低吸収域あるいは平衡相での遅延濃染を示したのは93.9%(31/33)であり、腫瘤が指摘困難であった2例では各々胆管拡張、膵管拡張を認めた。腫瘤を指摘した31例中膵癌と診断したのは93.5%(29/31)であった。3) MRCPではMPD閉塞/狭窄を56.3%(9/16)、DWIでは拡散低下を81.3%(13/16)に認め、両者のいずれかでの異常指摘率は86.4%(19/22)であった。DWIで異常を指摘した13例中悪性を示唆するADC < 1.2 × 10-3mm2/secあるいはLSR ≧ 1.0を示したのは53.8%(7/13)であった。4) EUSの腫瘍描出率は100%(39/39)、膵癌診断率は92.3%(36/39)であった。3.MDCTとEUSの組み合わせによる膵癌診断率は97.4%(38/39)であった。膵癌と診断しなかった1例の術前診断はSPNであったが、DWIでの拡散低下とLSR 1.20を認め、悪性を示唆する所見であった。
【結論】小膵癌の診断にはMDCTとEUSを組み合わせることが効率的である。但し、造影剤の使用が困難な例もあり、MRCP/DWIがMDCTに代わる検査法になり得る可能性がある。
索引用語 TS1膵癌, 画像診断