セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃-症例報告3

タイトル 消P-191:

胃癌化学療法中に胃穿孔を合併し緊急手術で救命しえた2症例

演者 藤本 康介(大阪警察病院・臨床研修医指導センター)
共同演者 河相 直樹(大阪警察病院・内科), 占部 真貴子(大阪警察病院・内科), 東 祐一郎(大阪警察病院・内科), 妻野 恵理(大阪警察病院・内科), 楠本 侑弘(大阪警察病院・内科), 須田 貴広(大阪警察病院・内科), 堀江 真以(大阪警察病院・内科), 景山 宏之(大阪警察病院・内科), 村田 真衣子(大阪警察病院・内科), 宇田 創(大阪警察病院・内科), 榎原 良一(大阪警察病院・内科), 山口 真二郎(大阪警察病院・内科), 宮竹 英希(大阪警察病院・内科), 水谷 昌代(大阪警察病院・内科), 岡田 章良(大阪警察病院・内科), 尾下 正秀(大阪警察病院・内科), 西田 俊朗(大阪警察病院・外科), 辻本 正彦(大阪警察病院・病理診断科)
抄録 症例1は77歳男性。2008年6月上部消化管内視鏡検査(EGD)にて胃体下部後壁に境界不明瞭な早期胃癌を疑われた(tub1疑い)。7月、9月のEGDで明らかな胃癌を指摘できず、造影CTでも異常を認めなかった。ヘリコバクター除菌後、2009年1月EGDにて体部を中心に広範なびらん・潰瘍を認め、生検ではpor>sig、CTで腹膜播種が疑われた。staging laparoscopyにてtype4, sSE, N0, H0, CY1, P1, M0, stage IVと診断した。2月19日からS-1 100mg/dayを開始し、26日CDDP(80mg/body)を投与した。CDDP投与後から食欲が低下し、27日22時頃から腹痛を訴え、徐々に増強した。CTにてfree airを認め、消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断した。緊急手術にて胃体上部前壁に3cmの穿孔を認め、EGDで潰瘍形成していた部位と一致していた。症例2は60歳男性。2010年11月より下腹部痛を訴え当科受診、胃癌、癌性腹膜炎と診断された。2011年1月7日からS-1を開始し1月14日CDDPを投与した。1月16日急激な腹痛を訴え、上腹部に著明な圧痛と筋性防御、反跳痛を認め、CTでfree airを確認した。緊急手術を施行し、病理診断はtype2,sig,T3(SS),N2,M1,P1,CYX,H0,Stage IVであった。S-1の胃癌使用成績調査で胃穿孔および潰瘍穿通はまれな偶発症で頻度は0.05%(2/3808)であるが、最近の胃癌化学療法での報告では1%程度とされている(Ann Oncol. 2007など)。自験例を加えた18症例では、原発巣の穿孔が13例 (72.2%)、腹膜播種からの穿孔が4例 (22.2%)であった。全体の致死率は7/18(38.9%)と高く、手術症例でも致死率は4/14(28.6%)と高率であった。胃癌標準治療であるS-1レジメにおいて留意すべき有害事象と考えたので報告する。
索引用語 胃穿孔, 化学療法