セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

十二指腸1

タイトル 消P-198:

十二指腸乳頭部神経内分泌細胞癌の1例

演者 草野 昌男(いわき市立総合磐城共立病院・消化器科)
共同演者 前島 隆平(いわき市立総合磐城共立病院・消化器科), 堀井 亨(いわき市立総合磐城共立病院・消化器科), 土佐 正規(いわき市立総合磐城共立病院・消化器科), 大楽 尚弘(いわき市立総合磐城共立病院・消化器科), 椎名 正明(いわき市立総合磐城共立病院・消化器科), 池田 智之(いわき市立総合磐城共立病院・消化器科), 上野 孝治(いわき市立総合磐城共立病院・消化器科), 池谷 伸一(いわき市立総合磐城共立病院・消化器科), 中山 晴夫(いわき市立総合磐城共立病院・消化器科), 樋渡 信夫(いわき市立総合磐城共立病院・消化器科)
抄録 【症例】80歳、男性【現病歴】11月29日より悪寒、38度台の発熱があり休日夜間診療所を受診したところ、胆嚢炎の疑いで当院の救急外来に紹介された。血液検査で肝胆道系酵素の上昇、CTで胆嚢腫大、総胆管拡張を認めたため、精査加療目的で入院となった。【入院時身体所見】体温39.1度、血圧118/78mmHg、脈拍114/分、眼球結膜に黄染あり、腹部では右季肋部に圧痛を認めた。【入院時検査所見】T-Bil 3.5、D-Bil 2.9、AST 111、ALT 116、ALP 677、γ-GTP 419、AMY 51、WBC 10900、CRP 9.38、CEA 3.3、CA19-9 2、CA72-4 1.0、DUPAN2 156、Span1 <10【入院後経過】画像検査の結果、総胆管結石による閉塞性黄疸と考え、ERCPを施行したところ十二指腸乳頭部に腫瘍を認めた。生検の結果、類円形、核小体の明瞭なchromatinに富む異型細胞が不規則な集塊および柵状構造を形成し増殖、特殊染色でchromograninA、synaptophysin、NSE陽性、S-100陰性であったため、神経内分泌細胞癌と診断した。乳頭部腫瘍のためESTできず、総胆管内に胆管ステントを挿入した。また、後日随伴性膵炎に対し、膵管ステントを挿入した。肝S7にやや血流を伴う腫瘤を単発で認めたが、予後の悪い神経内分泌癌であるため切除の方向となった。1月20日に開腹手術を行ったが原発巣の切除はできず、胆管空腸吻合術、肝転移部分切除術のみ施行した。肝転移部の組織は乳頭部腫瘍と同様であった。2月19日の腹部USで多発肝転移を認めた。家族の希望もあり、TS-1 80mg/日、2週投与2週休薬で投与を開始したが、急速に進行し初診から約5カ月の経過で永眠された。【考察】十二指腸乳頭部の神経内分泌細胞癌は極めて稀で、10例程度の報告があるのみである。悪性度が高く、急速に転移を来たし、確立された化学療法もなく予後は不良であると認識されている。今回われわれは貴重な1例を経験したので文献的考察を加え報告する。
索引用語 十二指腸乳頭部癌, 神経内分泌細胞癌