セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

十二指腸1

タイトル 消P-199:

十二指腸原発が疑われた異所性膵癌の一例

演者 高橋 啓(市立豊中病院・内科)
共同演者 林 史郎(市立豊中病院・内科), 近藤 尚(市立豊中病院・内科), 澤村 真理子(市立豊中病院・内科), 印藤 直彦(市立豊中病院・内科), 神下 真慶(市立豊中病院・内科), 中堀 輔(市立豊中病院・内科), 中本 泰生(市立豊中病院・内科), 山本 克己(市立豊中病院・内科), 高木 邦夫(市立豊中病院・内科), 渋谷 充彦(市立豊中病院・内科), 福井 浩司(市立豊中病院・内科), 市場 誠(市立豊中病院・内科), 稲田 正巳(市立豊中病院・内科), 北原 知洋(市立豊中病院・内科), 堂野 恵三(市立豊中病院・内科)
抄録 症例は64歳男性。主訴は吃逆・嘔吐。既往歴:胃潰瘍平成22年9月頃から膨満感・嘔気を認め、近医にて上部内視鏡検査を施行。多量の胃内容物と幽門狭窄を認め当院紹介受診となった。精査目的に上部内視鏡検査を行ったところ、幽門前庭部は全周性に浮腫状で十二指腸球部まで狭窄しており、経鼻内視鏡でかろうじて通過可能であった。十二指腸球部後壁に約半周性の潰瘍性病変と不整な顆粒状粘膜を認めた。同部位からの生検はwell differentiated adenocarcinomaであった。造影CTでは十二指腸周囲に嚢胞性病変を伴う不整な壁肥厚を認めた。また、その他明らかな他臓器転移は認めなかった。以上より十二指腸癌膵頭部浸潤の診断のもと膵頭十二指腸切除を施行した。病理組織結果はAdenocarcinoma arising in a heterotopic pancreas。病変の主座は主に胃・十二指腸の粘膜下層から漿膜下層で、5.8a.12b.13a.にリンパ節転移を認めた。切除断端は陰性であった。術後特に問題なく経過し、現在外来にて膵癌に準じたアジュバント療法としてTS-1(120mg/day)を継続中である。本病変は異所性膵から発生した癌の条件(1-3:Guilou L等1994):1.浸潤巣の近傍に位置する胃の固有筋層に異所性膵が見られる。2.腺房細胞と導管を伴うHeimlich2型の像を呈する。3.胃の固有筋層の浸潤巣の中に異所性膵の導管と類似した拡張した管腔を認め、異形を示す上皮が異型の見られない上皮に連続する、の3項目を満たしていた。また、病変主座が十二指腸であったことから十二指腸原発の異所性膵癌と考えられた。今回我々は十二指腸原発が疑われた異所性膵癌の一例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 異所性膵癌, 十二指腸