セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)十二指腸2 |
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タイトル | 消P-200:Crohn病の十二指腸狭窄に対しinfliximabおよびステロイド静注が有効であった1例 |
演者 | 村岡 正武(済生会熊本病院・消化器病センター) |
共同演者 | 江口 洋之(済生会熊本病院・消化器病センター), 上原 正義(済生会熊本病院・消化器病センター), 吉田 健一(済生会熊本病院・消化器病センター), 杉原 一明(済生会熊本病院・消化器病センター), 糸島 尚(済生会熊本病院・消化器病センター), 須古 信一郎(済生会熊本病院・消化器病センター), 今村 治男(済生会熊本病院・消化器病センター), 神尾 多喜浩(済生会熊本病院・病理診断科), 大門 秀光(おおかど胃腸科クリニック) |
抄録 | 【はじめに】Crohn病の上部消化管病変のうち十二指腸狭窄の頻度は0.5~7%とされている。今回われわれは、Crohn病の十二指腸狭窄に対しinfliximabおよびステロイド静注が有効であった1例を経験したので報告する。【症例】24歳、男性。2010年11月頃より食後に嘔気を認めていた。前医を受診し上部消化管内視鏡検査(GF)を施行されたところ、十二指腸球部に潰瘍を伴う狭窄を認めたため、12月中旬に当院入院となった。十二指腸の狭窄は高度で内視鏡(OLYMPUS GIF-XP260)は通過できなかった。胃前庭部からの生検で非乾酪性類上皮肉芽腫を、大腸内視鏡検査で回腸末端の縦走潰瘍を認めたためCrohn病と診断した。絶食、補液、PPI投与にて1週間保存的に加療したが、改善は認められなかったため、infliximab投与を開始した。投与1週間後にGF、胃X線検査(MDL)、造影CT検査を行ったところ、狭窄は改善傾向にあったものの不十分でありPSL40mg静注を追加した。2回目のinfliximabを投与後に再度GF、MDLを施行したところ十二指腸の狭窄部は改善、GIF-XP260が容易に通過できるようになったため、エレンタールの内服を開始した。その後食事も開始したが症状再燃なく2011年1月下旬に退院した。退院後infliximab を維持投与しPSLの漸減を行っているが、3月上旬のMDLでも十二指腸狭窄の再燃は認めていない。【考察】Crohn病における十二指腸狭窄には、内視鏡的拡張術や手術が行われることが多いが、穿孔や吻合部再発の危険性が伴う。また、栄養療法、サラゾピリン、メサラジン粉末、ステロイド、免疫調節剤の内服が奏功したという報告もあるが、狭窄が高度の場合には困難である。自験例のように十二指腸狭窄が高度な症例では、infliximabおよびステロイド静注による治療も検討に値すると考えられた。 |
索引用語 | Crohn病, infliximab |