セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

十二指腸2

タイトル 消P-201:

当科にて消化管病変を観察しえたアレルギー性紫斑病の4例

演者 西垣 佑紀(長岡赤十字病院・消化器内科)
共同演者 永野 敦嗣(長岡赤十字病院・消化器内科), 木村 成宏(長岡赤十字病院・消化器内科), 三浦 智史(長岡赤十字病院・消化器内科), 高野 明人(長岡赤十字病院・消化器内科), 嘉戸 慎一(長岡赤十字病院・消化器内科), 中村 潤一郎(長岡赤十字病院・消化器内科), 山田 聡志(長岡赤十字病院・消化器内科), 三浦 努(長岡赤十字病院・消化器内科), 柳 雅彦(長岡赤十字病院・消化器内科)
抄録 アレルギー性紫斑病はアレルギー機序による全身性の細血管炎で成人でも発症することがある。消化管粘膜に多彩な内視鏡所見を呈することが知られている。今回、当科にて経験した4例について検討する。
 症例1は61歳女性。下腿の紫斑と腹痛にて受診された。上部消化管内視鏡検査(EGD)で十二指腸球部に不整な発赤を認め、ステロイドの内服にて改善し、無再発で通院中である。症例2は16歳男性。四肢の紫斑と腹痛、血便、関節痛にて受診された。第XIII因子は63%であった。下部消化管内視鏡検査では全大腸に発赤粘膜が散在し横行結腸には特に強い炎症所見と一部潰瘍形成を認め、EGDでは十二指腸水平脚に不整な発赤粘膜が散見された。PSLや第XIII因子製剤の使用は拒否され、安静と保存的加療にて改善した。症例3は36歳女性。下腿の紫斑にて受診された。入院後に腹痛と下血を認め、EGDにて十二指腸下行脚に不整な発赤、びらん、潰瘍を形成していた。第XIII因子は53%であった。第XIII因子製剤とステロイドにて治療を開始したが腹部所見は増悪したため、ステロイドパルス療法を行った。腹部所見は改善したが、紫斑病性腎症の増悪を認めたため、シクロスポリンにより治療を行い改善した。現在再発なく通院中である。症例4は49歳女性。肺炎にて紹介され、下腿の紫斑と腹痛を認めた。EGDでは十二指腸下行脚に不整な発赤とびらんを認めた。第XIII因子は45%であった。第XIII因子製剤の投与にて治療を開始し、腹部所見は改善した。以後は再発を認めていない。
 アレルギー性紫斑病は白血球破壊性血管炎により血管透過性が亢進し滲出性の出血を来すために発赤や紫斑様病変を呈す。また、血管障害が高度になると血栓の形成や虚血性変化により、浮腫やびらん、潰瘍、壊死などをきたす。自験例では全例とも十二指腸病変を有し3例にびらんを認めた。血管炎による内視鏡所見は多彩であり、それらを認識しておくことは診断に際し非常に重要である。
索引用語 アレルギー性紫斑病, 十二指腸病変